第312話

No.311
10,545
2021/01/05 11:39
弟は口を尖らせながら、私を軽く睨むようにして見つめてくる。







あなた
それで怒ってたの?
轟焦凍
うん
あなた
なんで?







純粋に疑問をぶつけると、弟は不満そうな表情のまま言った。







轟焦凍
俺があなたのこと好きだからに決まってるだろ
あなた
...







唐突に好きだと言われ、慣れていないせいで頬が紅潮する。





弟はそれに気を良くしたのか、意地悪そうに笑った。







轟焦凍
顔真っ赤だな、照れてんのか?
あなた
なっ、違うし!
轟焦凍
じゃあなんで顔そらすんだよ







弟は私の顎を掴み、顔をそらせないように固定する。





至近距離で見つめられ、頬がさらに紅潮していくのがわかる。







あなた
っ、離れてよ
轟焦凍
やだ。あなたの今の顔もっと見たい
あなた
変態かよ
轟焦凍
俺は変態じゃねえ







いったいなにがしたいんだよこいつは。





私は無理矢理顔をそらそうともがくが、弟の力に敵うはずもなく...。







轟焦凍
あなた、動くな







顔を固定されたまま、耳元で甘く囁かれた。





テノールボイスが耳に心地よいなんて思ってしまい、そう考えている自分が恥ずかしくなる。







轟焦凍
目、閉じろ
あなた
え、なんで?
轟焦凍
いいから







言われるがままに目を閉じると、ふに、と唇になにかが触れた。





驚いて目を開けると、目を閉じている弟の顔がドアップ。





相変わらず睫毛長いな...じゃなくてっ!







あなた
んんっ!?
轟焦凍
...







急いで離れようとすると、弟はそれを察したのか、逃がさまいといわんばかりに後頭部に手を回してきた。





いや待てここ教室だぞ。





いくら誰もいないからって、さすがにダメでしょーが。







あなた
ちょっ、ダメだって...んんっ!!
轟焦凍
黙ってろよ







強引なキスになにもできず、されるがままになる。





一旦唇を離れたかと思うと、また重なる。





ちゅ、ちゅ、とわざとらしくリップ音を響かせながら、弟は噛み付くようなキスを繰り返してくる。







あなた
こんなとこで、ダメだよ...。みんなに見られたらどうすんの、







唇が離れた直後に言うと、弟は目を獲物を狙う野獣のようにギラつかせた。







轟焦凍
今は俺以外のやつのこと、考えんな







そう言うと、再び荒々しいキスを繰り返してくる。





爆豪くんの話したのが間違いだったかも...。





そう思いながら、弟のキスに耐え続ける。

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