え、なになに。
峰田くんの言葉を聞いて、A組のみんなが私の方にすごい勢いで突進してくる。
急すぎる展開に驚きを隠せぬまま突っ立っていると、みんなにわっ、と飛びつかれた。
みんなにもみくちゃにされ、頭を撫でられたり、抱きつかれたり。
されるがままだ。
だけど、全然悪い気はしなかった。
みんなが納得していく中で、梅雨ちゃんがそう言って微笑む。
それを聞いたみんなも、口々に言い出した。
みんな...。
じーん、とみんなの言葉を、思わず噛み締める。
と、
上鳴くんが、爆豪くんの腕を引っ張って私の前まで無理やり連れてきた。
てか、今の上鳴くんの言葉否定しなかったよね?
じゃあ、ほんとに見惚れてたってこと?
なんともいえない気持ちで爆豪くんを見つめていると、彼はため息をつき、みんながいる中で私の頭に手を乗せて撫でてきた。
と、みんなが爆豪くんに向かってブーイング。
私の言葉を聞いて、みんなはきょとんとする。
そう言うと、爆豪くんはふいっ、と顔をそらす。
この反応だと...たぶん、図星かな。
爆豪くんも案外わかりやすい反応するもの。
そのやり取りを見て、みんなが笑う。
ああ、やっぱり私、A組のみんなが好きだ。
改めてそう思った。
と、
緑谷くんの声がして、私はそちらの方に目を向ける。
彼の横には弟が立っていて、弟は少し不機嫌そうな表情をしていた。
と思ったら、ずかずかとこちらまで歩いてきて、私の腕を掴む。
なにやってんだよ。
やめてよという意思で弟を見つめていたが、無駄だった。
弟が腕を引っ張り、私を自分の方へと抱き寄せたからである。
弟に引きずられるようにして連行される中、みんなは笑顔で私たちを見送っている。
ええ...なんとかしてよ、この状態。
目立っちゃってるんだよ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。