藤澤side
私はお姉さんに渡されたメモリを受け取り、
改ざんされているかどうか確認をした
「涼ちゃん、卒業しても、いっぱい楽しいことしようね!」
パソコンを閉じ、綾華の部屋の紙も張り替えていく
ふと、紙の裏に何かが貼ってあるのを見つけた
「大森元貴くんのことを忘れないで」
そう書かれてある付箋だった
私は涙が止まらず、嗚咽した
日記を持って綾華の家を出た
そして現在_____
私は綾華の書いた日記を読んでいる
日記を返しに、綾華の家へ向かった
歩いていると、前から日記の改ざんをしに向かい走っている自分の姿とすれ違った気がした
トンットンッ
そう言って彼女が描いていたのは
“大森元貴”だった
私はまた涙が止まらなくなってしまった
私は日記を綾華に渡した
私は首を横に振る
綾華side
私は日記を読んでみる
5月27日、月曜日。驚く出来事があった。
最初はただのひらめきだった
彼の告白に便乗しよう
こんな私でも、何か新しい世界に踏み出せるんじゃないか
記憶を整理するのには時間がかかるから
昨日の私との話題を持ち越されたら困るから
思い出を作れない私に、恋愛感情なんて許されないから
けど…彼は記憶のこと知ってたんだ
知らないふりして
思い出を作れない私に輝く毎日をくれたんだ
記憶を明日に繋げない私に、生きる意味をくれたんだ
私はスマホの中にある動画を見る
彼は、その命が尽きる前日まで私のそばにいてくれた
見返りなんて一切望まず
思い出をただただ与えてくれた
だけど…私は失い続けた
彼との時間や出来事は、日記の中でしか存在しない
だから、どうか神様
彼といた時間を、私に刻み込んでください















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!