あなた side
焼肉店の個室で注文が来るのを待機中。
ここは高い仕切りがあるから来やすいんだよな〜
自分で飲み物取ったりサラダバー取ったりするスタイルだから、一旦席を立つ。
…いや、俺サラダ取りたかったのに。俺のと姉貴の水持ったら無理じゃね。
後からもう一回行くか。
ガランガラン
「いらっしゃいませ〜」
ドアが開く音で反射的に入り口の方向に視線を向ける。
あ、こっち来た。男性2人だ。
トンッ
パシャン
片方の男性とぶつかって少しコップが揺れてしまった。
ここの通路狭いからな、仕方ない。
そう思って端に寄ってたけど、そりゃ男2人がすれ違おうとしたら少しキツい。
待て。待て待て待て待て。
この特徴的な声、聞いた事あると思ったらアイエンだ。
最悪だ。今女装してないし、顔面なんも隠してない!こんなとこで正体がばれんのは嫌すぎる!!!
バタバタバタッ
るんるんでサラダバーに行った姉貴を見ながらため息をつく。
こんな事なら店内でもマスクと帽子被っとくんだった…
暑くて脱いだ過去の俺を…いや、焼肉を提案した俺を恨む…
いや待てよ…?所詮プロモデルに比べたら俺なんてモブだ。あいつの記憶にはないんじゃ…
そうだった。名刺渡されたの思い出した。最悪。
でも!流石にバレることはないはず。なるとしても見た事あるなぁくらいで終われ。
姉貴がサラダの入った皿を2個持って来た。なんか声ちっさ。
どうしよう。よりにもよって1番バレたくない相手に素顔で鉢合わせてしまった。
しかも隣て。
俺なんも喋れねぇじゃん。
next→

















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!