優吾side
それからというものの…
『髙地さん、いい匂いするね』
『髙地さん、どこ住んでんの?』
『髙地さん、何歳?』
なんて、質問攻め
本当に口説かれそうになってんじゃんか!
「あの、それはプライベートなので…」
俺がそう言うと
グイッと近付いてくる先生
「先生、近いです」
『その呼び方、やだな〜』
「じゃあ、佐藤さん」
『ジェシー』
「佐藤さん」
『ジェシー!!!』
もうっ、なんて言いながら頬を膨らませている
多分歳下だろうな
「俺、30だからね」
『えぇっ!そんな風には見えないよ!?』
『じゃあ、歳上なんだ…』
「何?不満?」
『だって、その分経験数あんじゃん』
「ぶふーっ」
やっべ、喉乾いたから飲もうとして口に含んだお茶
全部吹いたじゃねーかよ
「平気でそんなん言うなよっ!」
「で、小説の話はどうするの?」
『えぇ〜仕事やだ〜…』
「俺、担当外れていい?」
『それはやだっ!』
「じゃあ、構想練りますよー」
そんな感じで、打ち合わせが始まった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!