あなた「ねぇ及川ー」
あなた「今日入学式だよね?」
及川「うん、そうだけど」
及川「どうしたの?」
あなた「今年は北一から誰が来るかな〜って」
及川「確か金田一と国見ちゃんだったよ!」
あなた「あれ?影山は居ないんだ」
及川「ちょっとーあなたから飛雄の名前は聞きたくないんですけどー」
あなた「何それ笑」
あなた「というか岩泉は?」
及川「あー岩ちゃんなら入学式準備があるって言ってどっか行ったよ」
あなた「ふーん」
及川「ちょっと!?せっかく及川さんが答えてあげたのに反応薄くない?」
あなた「気の所為気の所為〜」
及川「及川さん泣くよ!?」
あなた「勝手に泣いとけ」
及川「酷い!」
あなた「あはは」
私、久世あなたは今日から3年になります。
今年で最後の高校生活。
最後の1年、全力で楽しみたいです。
??「あ、あなたさん。お久しぶりですね」
あなた「え、」
??「どうしました?俺に会えて嬉しかったんですか?」
あなた「うん、それだけは無い」
あなた「というかなんであんたがここにいるの?」
あなた「"国見くん"」
最後の1年全力で楽しもうと思った束の間、早速苦手な後輩と鉢合わせしてしまいました。
背は伸びてるけどこの重い瞼、センター分けにされたサラサラの髪、そして気だるげな声。
間違いない。
"国見英"だ。
中学の時、少しだけ国見くんと揉めたことがあった。
それまでも、国見くんから色々言われることがあったが、あの時は久しぶりに自分も感情に任せて色々なことを言った。
あの時、偶然通りかかった及川に止められそれ以上言い合うことはなかったが、それからは私は国見くんのことを全力で避けるようになった。
今でも、逃げれるものなら逃げてしまいたい。
でも何故か、足が、動かなかった。
地面が、私の足を捕まえて、離さなかった。
国見「迷子になったんです」
あなた「⋯ぇ、?」
国見「だから、迷子になったんですって」
あなた「どこに行きたかったの?」
国見「⋯⋯。」
国見「どこに、行きたかったんでしょうね?」
あなた「はぁ?」
迷子になったのなら普通は焦るはずだ。戸惑うはずだ。
でも、さっきから国見くんは口角をあげ、ニヤニヤと嬉しそうにこちらを見てくる。
ほんっとに、中学の時から何を考えてるのかわかんない。
あなた「国見くんって何組?」
国見「分かりません」
あなた「は?」
あなた「今まで何してたの」
国見「ここに来て早々女子に囲まれたんで撒いていたらいつの間にかこんなとこに来てしまいました。」
あなた「⋯金田一くんは?」
国見「分かりません。」
国見「多分、先行ってるんだと思います。」
あなた「はぁぁぁ」
あなた「ほら、行くよ」
国見「どこにですか?」
あなた「クラス表の前」
あなた「クラスがわかんないと何も出来ないでしょ?」
国見「まぁ、そうですね」
あなた「じゃあ、着いてきて」
国見「はい」
私の最後の高校生活、早速波乱の予感です。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。