私の小さい頃は、リーダーシップがあって、思ったこと、感じたことはすぐに口や顔に出る子供だった。
そのせいでよく怒られることもあったが、逆にありがとう、と感謝をされることも多かった。
でも、中学生になるにつれて、少しづつ、それでも確実に私の性格は変わっていった。
小さい頃とは対象的に、自分の感情は塞ぎ込んだ。
周りの大人や友達に流されるまま生きるようになった。
でも、"自分で物事を決めない"ことはなかった。
自分がしたいことはちゃんとあった。
でも、自分の意見を出して、その意見が友達の意見とぶつかり合えば、私は友達に嫌われるかもしれない。
友達に嫌われたくはなかった。
でもその考えのせいでいつしか何かを押し付けられることが多くなった。
でも私は"嫌"と言えないから、私は我慢してそれらを受け入れるようになった。
私が我慢すれば、それで友達は喜ぶから。
私は、嫌われないから。
これで、全てが丸く収まる。
でも中学3年の春、私は最近知り合ったばかりの後輩に言われた。
『先輩は人が良すぎます。』
『世間の言う、"お人好し"ということです。』
『先輩はどうしていつも自分から貧乏くじを引こうとするんですか?』
と。
私はこの後輩の言った意味がわからないまま中学を卒業した。
私はそのまま幼馴染の岩泉と、密かに想いを寄せている及川と一緒に青葉城西高校へと入学し、
高校生活を送っていた。
そして、高校3年になった春、事は起こった。
友達に、私が及川のことが好きなのは知ってる、でも、私の恋を応援して欲しいと言われた。
私は断りたかった。私の好きなやつと友達との恋なんて応援したくなかった。
でも、私はそこでも友達を失うかもしれないという1つの不安が浮かび、私は断ることが出来なくなった。
そして思わず、「うん、応援してるね」と言ってしまった。
ー設定ー
♯久世あなた
♯青葉城西高校
♯3年6組
♯男子バレー部マネージャー
♯及川、岩泉と幼馴染
♯及川が好き
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!