此はポートマフィアで幹部の補佐を
勤めていた時のある会話の一部始終である。
私が何時も通り報告書を纏め、
執務室の幹部に最終確認して頂いている時だった。
太宰幹部が突然私に投げ掛けた
“可哀想”という言葉の真意が判らず
思わず首をかしげた。
私がそう太宰幹部に問いかけると
太宰幹部は手元の資料から目を離さず言葉を続ける。
そう言って幹部は話を終えたように
口を閉じて書類の確認を行う。
しかし私はふと疑問を抱いたため、
再び幹部に質問をした。
私の問いかけに幹部は一瞬動きが止まり、
そして呆れたように大きなため息を付く。
その時、私は初めて幹部が
昇進を前提とした話をしていることに気がついた。
幹部は先程まで書類に向けていた目を此方に向けた。
その目は一切の光を灯さない暗闇であり、
捕らえた獲物を逃がすまいという信念も感じられた。
幹部はそう言って黒い笑みを浮かべる。
心を凍りつかせるようなそれを大抵の人がみたら、
逃げ出すことや自害を選ぶらしい。
幹部は先程私が持ってきた書類を
可笑しそうにひらひらと扇いだ。
僅かな風の流れが生まれ、幹部の髪が揺らぐ。
幹部に深々とお辞儀をして、執務室を後にする。
太宰幹部との、たったそれだけのお話。
閑話「幹部にならない。」 完
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前回たくさんのコメありがとうございました😭
生憎、一昨昨日は忙しくてコメ返が出来ず、
日付変わってからコメ返したら迷惑かな…と
返信出来ず終いになってしまいましたが
全部ちゃんと読んでます🙏🙏!!
暗号に挑戦してもらえてるのも嬉しいし、
絵についてのコメも嬉しすぎました…🥲
此処ぞとばかりの宣伝みたいで難ですが
主、イラスト部屋があるので
善かったら見てもらえたら嬉しいです…💓
_______以上、みみみより。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。