「…ゾム」
「待ってッ!!!!!!!!」
「ッ!」
兄さんside
「ぞ、む!」
やっと着いた。やっとや。やっと……
ゾムを思いっきり抱きしめた。
「ごめんゾムッ!!」
上がる肩。一度大きく深呼吸をする。
「…俺、ほんとに……遠い所にいるから、滅多に帰れへんなんて理由でゾムのこと知らんふりして…!」
薄々、分かってはおった。インカムでゾムに連絡しても反応はないし、国に回ってきた噂話とかでも、(噂にはすぎないが)幹部の仲が悪くなってきてるだの、ちょっと気づいとったとこはあった。
なのに俺はそんなん無視しとった。幹部なら、仲間ならすぐに駆けつけるはずなのに。
「ゾムぅっ…!俺、悪いことしたって!ずっと、後悔してたはずやのに、!ぜんっ、ぜん後悔なんてしてなかった…!」
後悔するにはもう遅い、なんて誰かが言ってたなぁ……その通りや……
「許されようとは思っとらん!けど…!俺は今まで国内での仲間の争いとかを1番見てきたのにっ、!結局俺が1番わかっとらんだ!」
「ゾムっ、ごめんっ……!」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。