先にお風呂に入った優吾を待つ間、
優吾に着てもらう寝間着を出す。
身長差は数センチしかないから問題ない。
下着も新品を出せばいい。
あとは、歯ブラシも同じく新品で、
タオルは洗いたてのものを。
思いつく限りの用意を終えたところで、
ちょうど良く優吾が風呂から上がった。
なるべく体を見ないようにしながら話し、
そそくさと出ていく。
いろいろと危ないので。
数分して、着替えを済ませ出てきた優吾。
見慣れた俺の服なのに、優吾のおかげで新鮮。
というか、かわいい。
ただのスウェットなのに。
真面目に答えた俺の言葉に笑う優吾。
確かにスウェットで似合ってるって、
あんまり言わない。
風呂、と言ってもシャワーだけ。
ジャージャー水を流しながら、
これから優吾に伝える言葉を選び出す。
もちろん、今日までもなんとなく考えてはいた。
でもそれでいいのか、わからなくって。
風呂を上がると優吾は、
棚から引っ張り出したのであろう映画を見ていた。
何年か前に流行った恋愛ものの邦画。
映画館に観に行って感激した俺は、
しっかりブルーレイまで買って持っている。
俺は普段から恋愛ものの作品を観たり読んだりするが、
優吾にはそんなイメージはない。
気分、って、どんな気分なんだろう。
疲れるので、深くは考えないけれど。
ソファに座り、視線を画面に向けながら話す優吾。
俺もその隣に座る。
すると、優吾がリモコンを手に取り映画を止め、
テレビの電源を消した。
俺の方に向き直り、優吾は言う。
俺も理解した。
ついに、その時間が来たんだって。
ほんのさっきまでずっと緊張していたのに、
今は何か、不思議な感じ。
あんなに跳ねていた心臓が落ち着いている。
きっと、この特別な状況に影響されているんだろう。
頬を、耳を、赤く染めて俯く優吾。
この話、始めたのは優吾なのに。
そもそも、全部優吾のせいなのに。
きっと、大丈夫。
きっと、そうなんだ。
もう、無駄に隠したりしなくていいんだ。
ああ、ずるいな
優吾は、いつだってずるいな
俺は優吾の頬に手で触れて、
きちんとその目を見て言った。
あのときみたいだな、って、
うっすらとそう思いながら。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。