全く聞き取れなかったがボソッと言う声がして振り返る。
そう言って椅子から立って再び鏡の前へ向かうヒョンに小走りで追いかけ、ボノニヒョンの肩を組むスングァニヒョン。クプスヒョンの声で練習が再開したが、僕が相当疲れているせいか練習を早めに切り上げてくれた。
宿舎に戻りシャワーを浴び終わると非通知番号から不在着信が2件入っていた。アイドルの仕事をやっている以上、知らない電話番号から着信が入った場合僕達は出たり掛け直したりといった行為は禁止されている。念の為電話番号を確認していると、また非通知番号から着信が入った。
次の日になり撮影の為に宿舎を出てスタジオへ向かう車の中。
いくら心配してくれてるとはいえ僕にだけ復唱させるって…
うわ、目が笑ってない。でも言うと面倒くさそうだしなぁ。ディエイヒョンとかボノニヒョン辺りだったら言っても大丈夫かもな〜。
ディ、ディノヒョン。そんな目で見ないで!
結局全員に話すことになってしまった。ただの間違い電話かもしれないのに。聞く人にとっては自意識過剰だと思われるからドギョミヒョンとマネヒョンにだけ相談すればいいと思ってたのに。
ウジヒョンから見せてもらった画面には数百件を超える着信履歴が記載されていた。身の毛がよだつ光景に息を飲む。
ウジヒョンが僕のスマホを見ている間も着信数は増えていった。
職場についてスタジオ入りすると着信はピタリと止んだ。
その日はメンバーの誰かしらが僕の隣にいて、ヒロイン役の子と談笑している時も会話に入ることはなかったが常に隣にいた。
衣装チェンジになりメンバーの誰よりも早く準備を終えた僕は、控え室に1人で戻った。控え室に戻る道中、ヒロイン役の子に話しかけられた。
連れて来られたのは人気のない廊下の先にある会議室。中へ誘導され扉を閉められた瞬間、僕は違和感に気がついた。
そう話ながらゆっくりと近づいてくるヒロイン役の女性。
振り切ろうとすると抱きつかれその衝動で倒れ込んだ。
その言葉を聞いた瞬間背筋が凍った。静まり返っている中、僕の携帯は鳴り続けていた。多分ヒョン達だ。電話に出ようと思い携帯に手をかけた瞬間、奪われた。
























編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!