第13話

13話 きみの時間、俺にちょうだい
5,658
2020/10/15 09:00 更新
昌と真司先輩に
告白されてから数日後──。
あなた
(やりにくい)
放課後、剣道部の活動中に
私はひとり困り果てていた。
伊澄 真司
伊澄 真司
あなた、手の甲を見せてみろ
試合形式の練習が終わったあと、
私の手を掴み、まじまじと
甲を眺めてくる真司先輩。
伊澄 真司
伊澄 真司
少し、竹刀が掠ったか。
赤くなってる
あなた
これくらいの傷、
日常茶飯事ですって
伊澄 真司
伊澄 真司
それでも、
心配くらいさせてくれ
あなた
(先輩が優しくて、
やりにくい!!)
***
美園 みくる
美園 みくる
あなた、なんか疲れてるね
部活のあと、みくるを
家まで送っている途中のこと──。
あなた
真司先輩が部活で……
優しすぎるんだ
美園 みくる
美園 みくる
うん? それって
いいことなんじゃ……
あなた
いつもはビシバシ鍛えてくれて、
師匠!って感じで慕ってた人が、
優しすぎるんだ!
美園 みくる
美園 みくる
お、落ち着いて
あなた
これが落ち着いてられるか!
美園 みくる
美園 みくる
好きな女の子には、
優しくしたいって
思うんじゃない?
あなた
す、好きな女の子……
美園 みくる
美園 みくる
そうだよ。あなたは、
藤ヶ谷くんと伊澄先輩、
どっちのことが好きなの?
あなた
そ、そんなのわからない!
考えたことも……ない
美園 みくる
美園 みくる
じゃあ、このあと、
藤ヶ谷くんのバイト先に
行ってみない?
あなた
い、今はどんな顔して
会ったらいいかわからない
美園 みくる
美園 みくる
迷うのは、藤ヶ谷くんの
ことも伊澄先輩のことも
気になるからでしょ?
あなた
そ、それは……
美園 みくる
美園 みくる
自分の気持ちが誰に向いてるのか、
ちゃんと向き合わないと。ね?
みくるに諭されて、
私たちは昌のバイト先にやってきた。

──カランコロンッ。
藤ヶ谷 昌
藤ヶ谷 昌
いらっしゃいま──
あなたちゃん!?
嬉しそうに駆け寄ってきたのは、
昌だ。
あなた
(おかしい……昌のお尻に、
ブンブンとちぎれんばかりに
振られた尻尾が見える気がする)
美園 みくる
美園 みくる
ふふっ、愛されちゃってるね
あなた
みくる、笑い事じゃないぞ
あなた
(まったく、こそばゆくて、
いたたまれない)
席に案内され、みくるがトイレに立つと、
見計らったように昌が近づいてくる。
藤ヶ谷 昌
藤ヶ谷 昌
あなたちゃん、
最近あの主将とはどうなの?
あなた
ど、どうもない
藤ヶ谷 昌
藤ヶ谷 昌
聞き方変える。
主将のこと、少し好きになった? 
男として意識するようになった?
あなた
バ、バイト中に
なに聞いてくるんだよ、お前は!
藤ヶ谷 昌
藤ヶ谷 昌
大事なことだから
真っ直ぐな目をされ、
私は渋々答える。
あなた
……しゅ、主将は主将のままだ。
憧れてる……だけ
藤ヶ谷 昌
藤ヶ谷 昌
そっか、まだチャンスは
あるんだな
昌がほっと息をつく。
藤ヶ谷 昌
藤ヶ谷 昌
俺のバイトが終わったあと、
会えない……かな?
あなた
このあとか?
藤ヶ谷 昌
藤ヶ谷 昌
今日は早上がりなんだ。
あと1時間だけ待ってて
もらえると嬉しいんだけど……
あなた
あ……
あなた
(なんだろう、
会ってなんの話をされるんだ?)
藤ヶ谷 昌
藤ヶ谷 昌
あなたちゃんの時間、
俺にちょうだい

プリ小説オーディオドラマ