第20話

vol.18 引き籠り監督生 グリム視点
1,151
2022/01/21 18:39
────────そして、更に翌日。
ラギー・ブッチ
ラギー・ブッチ
あれ?今日はオンボロ寮の監督生くん一緒じゃないんスね
エースやデュースと廊下を歩いていると、サバナクローのラギーやジャック、レオナと偶然出くわす。
エース・トラッポラ
エース・トラッポラ
今日“は”ってか……
グリム
グリム
今日“も”なんだゾ
デュース・スペード
デュース・スペード
何時も一緒にいる訳でもないんですけどね……。アイツ、一人でどっか行ったりするし
ジャック・ハウル
ジャック・ハウル
俺は話したことねぇけど、ラギー先輩新しい監督生と話したつってましたよね
ラギー・ブッチ
ラギー・ブッチ
そこに居るレオナさんもっスよ。と言っても、ほんのちょっとしか話してないけど
レオナ・キングスカラー
レオナ・キングスカラー
ふらつきながら廊下歩いてたからな。鬱陶しくって注意したんだよ
ラギー・ブッチ
ラギー・ブッチ
鬱陶しくて……ねぇ?
ラギーの奴がニヤニヤしながら言うと、「何が言いたい?」と、レオナが睨む。けど、ラギーはすぐに「別に、なんもないッスよ。そういうことにしときます」と呆れたように笑った。
レオナ・キングスカラー
レオナ・キングスカラー
で、何かあったのかよ
レオナが聞くと、デュースが「え?」と呆けた声を出す。続けてジャックから「お前ら浮かない顔してたぞ」と指摘され、エースが「あ〜……」と口を開いた。
エース・トラッポラ
エース・トラッポラ
昨日からカナデの奴体調悪くて休んでるんだけど……グリム曰く、飯も何も口にしてないみたいでよ。部屋からも出ないどころか、時々物が割れるような音が聞こえるとか
ラギー・ブッチ
ラギー・ブッチ
な、なんスかそれ。体調不良で学校二日休むとかはまぁ、普通にあるから気にしないとして……大丈夫なんスか?
グリム
グリム
流石に気になったから声をかけたけど、物をうっかり落としただけだから気にすんなって言われたんだゾ。でも、声が震えてたような……
ジャック・ハウル
ジャック・ハウル
扉開けて様子とか見なかったのか?
グリム
グリム
鍵がかかってるし、今は誰とも会いたくないって言ってたんだゾ
オレ様が教えると、ジャック達も黙り込み、沈黙が流れる。何時もはカナデと同室で同じベッドで寝ていたが、今は一人。
夜になって一人寝始めれば、僅かな音が静かな部屋に小さく響く。
カナデが引きこもっている部屋は二階の奥の部屋で、オレ様達が寝ていた部屋とは離れている。けれど、その部屋から薄ら不気味な気配と共に、何かを引っ掻くようなカリカリと言う音、ギギッと言う音が聞こえるのだ。
正直ホラーでしかない。
デュースやエース達には言ってない。何故なら、カナデから口止めされたから。
もし、このことを話したらデュース達が様子を見に来るかもしれないので言いたくても我慢している。
グリム
グリム
(カナデの奴何やってるんだゾ〜……)
レオナ・キングスカラー
レオナ・キングスカラー
……本人が誰にも会いたくないって言ってんならほっときゃあいいだろ。少なくとも、俺達には関係ねぇ。面倒事はごめんだしな
デュース・スペード
デュース・スペード
やっぱり、そっとしておいた方が良いんすかね……
レオナ・キングスカラー
レオナ・キングスカラー
んなの俺に聞いたって仕方ねぇだろ。俺はアイツのオトモダチでも、お前らのオトモダチでもねぇしな。何がアイツの為になるかは、お前らで考えるこった。そういう訳だから、ラギー、ジャック、行くぞ
ジャック・ハウル
ジャック・ハウル
うっす
ラギー・ブッチ
ラギー・ブッチ
ハイハイ。んじゃ、また。カナデくん元気になるといいッスね
三人はそのまま歩いていき、オレ様達もなんとも言えない気持ちを抱えながら教室に戻った。
ラギー・ブッチ
ラギー・ブッチ
なーんか気になることでも?
レオナ・キングスカラー
レオナ・キングスカラー
別にねぇよ。あったとしても俺達には関係ねぇ
ジャック・ハウル
ジャック・ハウル
レオナ・キングスカラー
レオナ・キングスカラー
(とはいえ、妙に嫌な予感すんだよな)

プリ小説オーディオドラマ