授業が終わって休み時間。
私は先生に頼まれて、横山にこの学校を案内するように言われた。
仲良くなれるから結果、オーライ!
って、私なんで横山と仲良くしようとしてるんだろ。
あぁ〜!私のバカ!
クラスメートには一定の距離をおく!
そう誓ってたよね。
ていうか、なんでこんなに注目されたんだろう。
イメチェンしすぎたな。
一人でため息をついていたら、横山が「なぁ」と話しかけてきた。
横山は眉間にシワをよせて、こう言った。
一応、隣の席ですよ!
普通、隣の席の人の名前くらい覚えるでしょうが!!
イライラを抑えて、いかにも「不機嫌です!」って感じの返事をした。
横山はあまり気にしていないそう。
え?
私の中で小学校の記憶が蘇る。
ずっと、忘れていた。
小学校の頃の記憶。
これがバレたら、
私はもう…
横山が私の顔を覗き込む。
「ううん」と返事をする。
どうやら彼は、同一人物だということに気づいていない。
なら、このまま隠そう。
あの嘘がバレないように。
⇦next!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。