夏独特の雰囲気に胸をワクワクさせながら赤いカゴ付きチャリをかっ飛ばす。
制服は程よく着崩して、天然パーマの目立つ熊のような茶毛は風に良く靡いた。
坂下まで後ちょっと
「ジェミナーー!!ジェノーー!!」
勢い良くチャリのブレーキを握れば朝とは思えない声を張り上げる。
「あ〜、ヘチャナ朝からうるさいよ」
「んん、耳可笑しくなっちゃうねえさもえどぅ。」
ジェノはあからさまに嫌な顔をしてヘチャンの方をペシ、と叩く
ジェミンはいつも通り眠そうな顔をしてヘチャンの声をかき消すように耳を塞いでいた
「はーやーくーーー。遅刻切られちまう!!」
ヘチャンはチャリを駐輪場に雑に並べれば早く!!と良い急ぐ素振りを見せた。
ここから学校まで徒歩5分。
チャイムがなるまで4分。
「いや、いける。まだいける。早くしろジェノとジェミン!!」
「ほんとうるさいな、今行くよ」
「ん〜、元気だね相変わらず、」
ヘチャンに続いてジェノとジェミンも急ぎ足で走り出した。
「あ"ーー。もう無理お前らのせいでギリだった、アイス奢れ。」
肩で息をしながらギリギリ間に合った教室の自席に突っ伏すヘチャン。
何を隠そうこの3人は幼稚園絡みの大親友
中学校3年の秋、少し寂しそうにジェミンが「二人と離れるのやだねえ。」と言葉を零した事をきっかけにヘチャンとジェノはジェミンが推薦を貰ったこの高校に入学するため、必死を漕いて勉強をした。
そして今、幼稚園、小学校、中学校と続き毎日3人仲良く通学をしている
はあ、と息を吐いて休憩するヘチャンを横目にすかさずジェノがジェミンに話しかけた
「ジェミナ、走ったから髪の毛ボサボサになっちゃったね」
そう言いながら当然のようにジェミンの頭に手を伸ばしては髪を手櫛で直す
「ふふ、ジェノも髪の毛ボサボサになっちゃってるよ」
嬉しそうに目を細めてにっこり微笑めばジェミンはジェノの真似をするように頭を手櫛でとかしてみせた
だが、その甘い二人の世界をぶち壊したのは紛れもなくヘチャン
「何俺抜きでラブラブな雰囲気作っちゃってるワケ?俺も混ぜろし!」
「はあ、ヘチャナってほんと空気読めないよな。今俺とジェミナが二人で話してたんだろ」
「あ!それ決定的な省き!9年の仲に傷が付くぞサモエド!!」
ジェミン関連になるとジェノとヘチャンは直ぐに言い合いになる。優しいジェノも二人だけの時間を邪魔されるのは嫌なのだ。なんとも単純。
それを見て笑いを零すジェミン
「ヘチャナも髪の毛崩れちゃったねえ。」
いつもはうるさいよ、とあしらうジェミンがヘチャンの頭を撫でた。
その行為は本当に珍しい。こういうことするときは、大体ジェミンの機嫌がいい時だけ。
「なに〜、ナナちゃんご機嫌なんな。俺の頭撫でてくれっとか俺もう死んじまうかも」
「そのまま心臓止まって死んじまえ」
「あーもううるせえよ!!サモエドはワンワンしとけ!!!!」
朝から教室中にヘチャンのデカい声が響き渡った。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。