私は人間じゃない。
翔くんが作ったロボットだった。
翔くんがずっと隠してきた秘密が私にバレてしまった。
私はこれからどうなってしまうのだろうか。
謝られても何を言ったらいいのか分からない。
でもなぜ私を作ったのだろうか。
翔さんは昔のことを話してくれた。
幼なじみの女の子が死んでしまってから居場所が無くなり、ひとりぼっちになってしまった。
それでひとりぼっちにならないように私を作ったらしい。
話をした後、翔くんは少し下を向きながらもう一度謝った。
私は胸が痛くなった。
そんなに優しく謝らないで欲しい。
そんなことされたら私が人間みたいになっちゃう。
私は翔くんが寂しくならないためだけに作られたロボットなのに…。
それなのになぜ私に優しくするのだろうか。
図書室のときだって私を守ってくれた…。
他の人と同じように私に接してくれる。
私に優しくしてくれる。
いや、違う。
私がケガしないように守ったのは私が壊れたら困るから。
今まで優しくしてくれたのは全部私が自惚れていただけ…?
じゃあ私の中にあるこの胸の色んな痛みは何?
なんでこんなに胸が痛くなったり、暖かくなったりするの?
なんで翔くんは私にこんなものをつけたの?
私はこんなものいらない。
名前の分からない苦しくなるだけのものなんて…。
こんなものがあるなら、バグが存在するなら、こんなに苦しくなるくらいならいっそのこと壊れてしまいたい。壊されてしまいたい。
【 雨夜翔 said⠀】
ついに輝折にバレてしまった。
なんて言えばいいのか分からず、嘘をつこうとしたけど自分の顔色が悪くなっていることくらいは分かる。
多分輝折にも気づかれている。
だからもう正直に話した。
輝折は暗い顔をして、色々考えているようだった。
本当に申し訳ないと思っている。
その後輝折は部屋から出ていった。
部屋から出ていく前、輝折はギリギリ聞こえるくらいの声で「壊れてしまいたい」と言ったのが聞こえた。
あぁ本当に僕は何をやっているんだろう。
輝折を悲しませてしまった。
僕は胸が針で刺されたように痛んだ。
輝折に同情したから?
いや、違う、輝折が悲しんだからだ。
でも一体何故だろう。
輝折は僕が1人にならないように作った機械なのに。
でも僕は輝折に笑っていて欲しい。
こんなことをしておいて自分でも酷いやつだと思うよ。でも、輝折はまだ壊れないで欲しい。僕の隣で笑っていて欲しい。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。