チリリリリリ...
2度目の目覚ましは妙に俺の頭に響いて、大きく欠伸をすると俺はのそりとベッドから降りる。
あれから3時間、隣の照って奴は帰ってこなくて未だにベッドは綺麗なまま。
この無駄に広い部屋も一人じゃなんだか寂しく感じてしまう。
急いで新品の制服に着替えて、洗顔と歯磨きを済ませると、鍵をにぎりしめてコンクリート質の階段を降りる。
カンカンと鳴る足元はなんだが新鮮。
昨日は大騒ぎだった空間も、一晩すれば爽やかなレストランに様変わり。
ソファー席の一角に腰掛けると、斜め前には眠たそうにしている館さんの幼馴染の姿が。
ハムとチーズがのったトーストを噛りながらダルそうに返事をする翔太。朝は弱いのか、制服のシワとヘアセットからその様子がうかがえる。
うげっ、男の甘ったるい声はなんだか吐き気がする。
にこりと微笑んで翔太は立ち上がると、キッチンの館さんにひと声かけて先にレストランを出ていった。
なんだぁ?この幼馴染は妙に壁を感じる。
他人だけど、物凄く他人行儀の館さんと本性隠してそうな口の悪い翔太。
それに加えて帰ってこない同居人もいるし、とっても息がしづらいよ。
..........
某県立須野高校。
始業時刻は9:20だからまだ人は疎ら。
転校初日だし、早めに来たはいいけど職員室ってどこだっけ。
下駄箱を通って適当に階段を上がったはいいが、目に入るのは国際教室とか部室とか全く当てにならないものばかり。
とか言って、隣を猛スピードで駆け上がる生徒が1人。ピンクヘアで身長低めの男子生徒だ。
「おーい、嬉しいのはわかるが走って来るなよ...」
「部長には敬語を使えって...佐久間」
んん...?
佐久間って言ったか、この部室の中から聞こえる声の主は。それに「アニメ研究部」って、如何にもアイツが好きそうだ。
そう名乗ると佐久間は目を見開いて、持っていた箱を床に置くと両腕をばっと開いて抱きついてきた。
佐久間大介、高3。
俺たちが小学生の頃仲が良かったが、親の転勤で俺が引っ越してしまってそれっきり。
アニメオタクで元気ハツラツ。
全く変わってなくて安心したよ。
とか言ってどたどたと廊下を走って行く。
さぁてと、俺も急ぎますかね。
next➸












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!