※ほんの少しだけ淫猥な表現があります。過激なものではありませんが、苦手な方はご注意ください。
※これらは作者の見解です。数多のBL小説を読み漁った者の「ほんの少し」は当てにならないかもしれません。
そこまでは考えていなかったけど。
確かに日本でのローレンの様子も気になるかもしれない。
顎に手を当てて熟考する。
ローレンが落胆したように、眉尻を下げて唇を尖らせた。
そんな子犬のような顔をされては嫌とは言えない。
するとローレンの表情が明るくなり、嬉しそうに笑った。
この無邪気な笑顔がたまらなく愛おしい。
口元が緩み、ついローレンの頭を優しく撫でてしまう。
するとローレンは不服そうに口元をひくつかせた。
まずい。
怒らせてしまっただろうか。
突然ローレンに押し倒される。
反射でローレンの身体を押し返そうとするも、両手首を彼の片手で捕まれて身動きが取れない。
彼は私の顎に手を添えて、口付けを落とした。
あまりにも突然で目を見開く。
しかしすぐに口付けの甘さに絆され、目を瞑った。
胸の鼓動が早まり、一回一回が強く重たく感じられる。
この感覚にはまだ慣れそうもない。
その後うっすらと目を開くと、彼が目を細めて私の瞳をじっと見つめていた。
彼は口付けをする時いつもうっすらと目を開いている。
愛おしそうな、どこか意地悪な瞳。
すると突然彼がほくそ笑み、無防備に開いた私の口内へと舌を入れた。
え。
待ってこれどうしたら。
嫌ではないけど心臓が持たない。
彼は慣れたように私の舌を自分の舌先で優しくなぞる。
初めてでどうしたらいいのか本当に分からない。
とりあえず私も彼の真似をしてみようと、舌先で彼の舌をなぞった。
今度は彼が私の舌に自分の舌を絡める。
甘く卑猥な水音が私の耳を支配した。
頭がぼんやりする。
上手く息ができない。
すると彼は察したのか、唇を離す。
初めての深い口付けは煙草の味がした。
口元で手を覆い、堪らないと言いたげな視線を私に送る。
そんなにみっともない顔をしているだろうか。
恥ずかしさで顔を覆いたいのに、ローレンに手首を掴まれているためそれも叶わない。
彼の顔には、ほれ見たか俺は子供じゃない、と書かれている。
やり返したつもりなのだろうか。
…だったら私も少しからかってみよう。
しかし私の思惑とは裏腹に、彼はさらに嬉しそうな笑みを浮かべた。
…図星であるからなんとも言えない。
ぐうの音も出ない。
恥ずかしさで顔から火が出そうだ。
するとローレンが私の手首を離し、腰を上げてどこかへ行ってしまう。
…首輪を持ってきたりしないだろうか。
組織でもそんなことされなかったのに。
そう不安に駆られていると、すぐに彼が戻ってきた。
身体の後ろで何かを隠し持っている。
どうか首輪ではありませんように…
彼が私の目の前でしゃがみこみ、隠し持っていたものを差し出した。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!