ふわりと駆け抜ける夜風が肌を撫でる 。
途中から食堂から姿を消したくずは様は 、
自室のベランダで真っ赤なお酒を
一人で呑んでいた 。
窓を開けて近寄ると 、 くずは様は
私を一瞥して「 ああ 、 」と
気が抜けた声を漏らす 。
呟くように零すくずは様は 、
グラスの中で揺れる飲み物を月光に透かし 、
小さく喉を鳴らして飲み下した 。
ふと名前を呼ばれる 。
その声があまりにも弱々しく感じた 。
眉を下げて口角を上げるくずは様の
差し出された白い手 。
そっと重ねると 、
くずは様は指の長さの差を眺めて
懐かしそうに顔を歪めて笑った 。
私の言葉にくずは様は 、
目を見開き 、 真っ赤なお月様のような
瞳で私を見つめた 。
柔らかく細められたその瞳が 、 水面に
浮かぶ月のように頼りなさげに揺れていた 。
触れた手は冷たかったけど 、
その代わりに少年の瞳は 暖かく輝いていた 。
そんな夢を見ていた 。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。