夏希side
花見の季節
部活の恒例行事だ
みんなでお花見 楽しみだった
みんなで昼ごはんを買って おやつも買って
自転車で桜の咲いている公園に行く
何もかも忘れて楽しく過ごしてる
1年生の時から 今に至るまで
こんな楽しい時間も これできっと最後なんだ
これが この空間がずっと続けばいいのに
まぁ叶わないんだけどさ
でももう少し もうちょっとだけ この空間に
この春の香りに包まれていたいな
春は好きだ
惚れた男の誕生日があるから
なんてくだらない理由でも好きになれたんだ
花乃side
楽しいお花見
でも夏希は 楽しそうじゃなかった
いや 傍から見たら楽しそうに見えた
そう演じてるんだ きっと
でも 夏希の目には 楽しさより
寂しさが写っていた
まるでこの行事が この空間が
これで最後みたいな目で
無理に笑ってたりしたように感じた
でも夏希は明るく振舞っていた
みんなと同じように
春は嫌いになれなかった
どれだけ後悔で埋め尽くされても
どれだけ 哀しくても
嫌いにならない方がおかしい理由なのに
嫌いになれなかった
夏希side
桜は心に残る 綺麗で 優等生的存在
咲いていても 散りそうな時も
私もらこんなふうになれるかな?
花乃side
桜は心に残る 残酷で 劣等生的存在
つぼみの時も 咲いてる時も
こんな花に ならないで欲しい
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!