第10話

塩高 悠斗 ~しおたか ゆうと~
98
2019/03/05 14:46
俺は恋をしていた



恋している相手は他校の若旅 夏希ってやつだ


明るくて 面白くて


好きだった



小六の時 俺が受験をして他校に行ってからは


会う機会も減ってしまっていた




だから時々会えるのがほんとに嬉しかった


まぁその度 俺の体は 動かなくなってきているけど




あの時
そう 紅葉が綺麗に色付き始めた頃


夏希が
あることを言った
しかも涙混じりに


『 私さー 好きな人出来たんだ』


ショックだった

でも追い打ちをかけるように

『 人形病も薬じゃそろそろ効かなくなってきたや』



その時 夏希は泣いていた




その泣き顔は 愛おしくて 美しかった




その夜 俺は 泣いた

泣いて泣いて泣いた


次の日 目が腫れて友達に心配されたが
それでも 友達には何も言わなかった
言いたくなかった





夏希に思いを伝えられたらいいのにな.......


まぁ出来るはずもない
しかもあいつも 好きな人いるし




夏希の好きな人が いなければな

なんて変なことまで思ってしまったりした





でも夏希のあの事を聞いて
何故か俺は夏希がもっと好きになったし








守ってやりたくなった.......
自分の命が尽きるまで





いや







人形になってでも守りたかった

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