第2話

手遅れ①
25
2026/04/27 18:25 更新
6番と8番が収容されて、9番は変わった。
これが本来の彼なのだろうか。
知らない横顔に、じわりと仄暗い感情が滲む。
夜。
看守が日数を減らし、看守塔へ去った後。
監視カメラに気を付ければ、朝まで自由に会話ができる時間が訪れる。
8番
今行ける所は全部探索したと思うので、そろそろ医務室に行きますか。
6番
発熱剤で体調不良になると、医務室で休めるんでしたっけ?
9番
そうそう。
下のチェストに2本入ってた。
8番
⋯じゃあ、誰が行きますか?
9番
日数的に、俺かな?
6番
クロノアさん1番多いですからね。
8番
じゃあ俺も飲みます、2人で行ったほうが探索が進むと思うので。
6番
あ、了解です、じゃ2人で探索お願いします!
9番
はーい。
8番
まだ夜ですね。
朝看守が来た時に発熱するように飲みましょうか。
9番
そうだね。
あ、ピッケル持って行く?
8番
ピッケル、持って行きましょう。
直ぐに、それぞれのトイレから下水を通って、チェストからピッケルと発熱剤を取り出す。
6番
あ、朝ですよ!
8番
本当だ。
飲みます。
9番
俺も飲むね。
6番
どの位で効果が出るんだろう⋯?
そう呟いた直後、扉が開き、硬い靴音が近付いてきた。
ステイサム看守
おはよう。
6番
お!
おはようございます!
ステイサム看守
⋯9番と8番はどうした?
9番
⋯うぅ⋯
8番
⋯看守、俺、なんか⋯変です⋯
ステイサム看守
⋯2人とも顔色が悪いな?
6番はそのまま待機。
私は2人を医務室に連れて行く。
6番
了解しましたー!
ステイサム看守が先頭を歩き、8番と9番がそれを追って医務室への廊下を進む。
ぺいんとが、看守のすぐ後を歩いているのに対し、クロノアは壁に手を這わせながら、何とか前進している状態だった。
8番
⋯クロノアさん?
大丈夫ですか⋯?
聞いておいてなんだが、大丈夫な訳がない。
壁にもたれ、苦しそうに肩で息をするクロノアに、愕然とする。
自分より症状が重いのは明らかだ。
8番
クロノアさんの方が、俺よりヤバそうですね⋯!
肩貸します!
手を伸ばした瞬間、クロノアはぺいんとを拒むように後退った。
9番
っだめ⋯!
8番
!?
クロノアからの拒絶に動揺するぺいんとを見て、悲しげに眉を下げる。
9番
ごめ、なんか、俺、変なの⋯
ごめん、と再度謝りながら、クロノアは意識を手放し、壁にもたれながら、静かに床に倒れこんだ。
8番
クロノアさん!クロノアさん⋯!
看守!
クロノアさんが倒れました!!
先を歩いていた看守が、ぺいんとの声に振り返り、慌てて戻ってきた。
ステイサム看守
9番!
⋯9番は医務室まで私が運ぶ。
8番は歩けるか?
8番
⋯えっ、あ⋯っ、はい!
歩けます!
ステイサム看守
⋯?
よし、急ぐぞ!
一瞬躊躇したぺいんとに違和感を抱きつつ、看守は素早くクロノアを抱き上げると、足早に医務室へと向かった。

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