6番と8番が収容されて、9番は変わった。
これが本来の彼なのだろうか。
知らない横顔に、じわりと仄暗い感情が滲む。
夜。
看守が日数を減らし、看守塔へ去った後。
監視カメラに気を付ければ、朝まで自由に会話ができる時間が訪れる。
直ぐに、それぞれのトイレから下水を通って、チェストからピッケルと発熱剤を取り出す。
そう呟いた直後、扉が開き、硬い靴音が近付いてきた。
ステイサム看守が先頭を歩き、8番と9番がそれを追って医務室への廊下を進む。
ぺいんとが、看守のすぐ後を歩いているのに対し、クロノアは壁に手を這わせながら、何とか前進している状態だった。
聞いておいてなんだが、大丈夫な訳がない。
壁にもたれ、苦しそうに肩で息をするクロノアに、愕然とする。
自分より症状が重いのは明らかだ。
手を伸ばした瞬間、クロノアはぺいんとを拒むように後退った。
クロノアからの拒絶に動揺するぺいんとを見て、悲しげに眉を下げる。
ごめん、と再度謝りながら、クロノアは意識を手放し、壁にもたれながら、静かに床に倒れこんだ。
先を歩いていた看守が、ぺいんとの声に振り返り、慌てて戻ってきた。
一瞬躊躇したぺいんとに違和感を抱きつつ、看守は素早くクロノアを抱き上げると、足早に医務室へと向かった。
続












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。