今まひちゃんから連絡があって、変な人が家にきてるって
児童相談所の人だ
今までは僕が追い返してたけど仕事しててまひちゃんが出ちゃったみたい
あっそうそうまひちゃんは今小2だから本当にやばいです!僕?小6
家の前で車に寄りかかり上から目線で話してくるのが腹立つ
それよりまひちゃんが心配なのに
グイッ
この世界は家来制度があって子供は金持ちに体を売ってお金を貰える
絶対やれってことじゃない
でも親が居ない家庭の子はやる子が多い
僕もそのひとりだ
傷の数が多いほど体を売った証拠
ヒョイ(まひてるを抱える)
話をしていると銃声が響いた
外で遊んでいるまひちゃんに何かあったのかもしれない
頭が混乱する中僕は外へ走った
そこには僕が前、契約した豪族がまひちゃんの首を持って銃をこちらに向けてきた
僕は無心で豪族の元へ歩いた
まひちゃんが殺されるのが怖いんだ
足は進むばかりで
止まろうとは1ミリも感じなかった
ヒョイ(まひちゃんを抱える)
僕はあちらにいる、大人たちにまひちゃんを引き渡そうと歩いた
僕はまひちゃんをゆっくり置くとすぐに走り出した
それからはもう
まひちゃんとは5年も会っていない
僕の体の傷は増え続け、顔にまで侵食してくるようになった
そんなある日
ニュースが入った
「ある大手豪族が亡くなったことが判明しました」
そう。ぼくが捕まっていた豪族
やっと、まひちゃんに会える
5年も経ったんだ。忘れているかもしれない
そう思った時、最悪の事がおこった
「その男に捕まっていた家来たちをこれから“けがれ”と呼ぶことにし、近づくと呪われる可能性がありますので近寄らず、離れて過ごしてください」
これだと…まひちゃんに“けがれ”は怖いから来ないでって言われるかもしれない
僕の心が痛んだ
会いに行くべきなのか行かないべきなのか
そう…泣きそうな顔で言われても僕だって困っている
この子は…僕が来たあの5年前の時に地下牢に一緒に閉じ込められていた子
僕は迷った
…もう僕のことなんか忘れているかもしれない…
でも、行ったら“けがれ”と言われるかもしれない
あわないのが得策だ
だって家族に“けがれ”が居たら嫌だもんな…
何歩も歩いた
歩いたけれど足が前に進もうとしない
街に出るのを躊躇ってしまう
もう中一だ。物事の区別くらいつく年だ
前のまひちゃんじゃないかもしれない
でも、1回でいいから会いたい
僕はまひちゃんのために体にこんなに傷をつけた。
まひちゃんに会って、頑張ったって言いたい。
この人は保護の人
まひちゃんについてちょっと聞きたい
元気かな…それとも僕がいなくなって辛い思いをしたかな…
愛想良く振舞って、なにがしたいんだ
そういうと僕の体をじっと見てきた
そうだよな…まだ手だけなら隠せるが体全身に加え顔にまで傷がつき始めてる
こんなこと有り得なかった
命を懸けて守った弟にけがれと言われ、覚えられてもない
胸が苦しくなった
おかえりって言って欲しかった
それだけで良かったのに
あれ…なんか…
目から涙が止まらない
ここにいたくない
なんでだろう
この結末は予想してたはず
いざとなると悲しくてたまらない
走った
5年ぶりに走った
なんでこんなに…苦労したのに…!
ここまで来るのに何回死にそうだったか
なんにも知らないくせに…!
やだやだやだやだやだやだ
やっと外に出れて最愛の弟に会えたのに
なんでこんなに苦しくなきゃいけないの!?
初めて弟の前で泣いた
苦しいよ…でも…君がおかえりって言ってくれるから毎日辛くても悲しくても頑張れたのに
5年間、ずっと忘れたことはないのに
君はすぐに忘れちゃったの?
ずっと気になってた
いつも心配だった
忘れるなんて忘れるなんて
こんなに頑張ったのに
あんなに苦しかったのに!
名前も覚えてないの?
信じたくない信じられない
水滴が顔を流れるのが分かる
なんでこんなに苦しい?
ここから飛び降りたら…楽になるかな
そんなことを考えちゃう
そうだよね
別に僕のことを忘れていたわけじゃなかった
考えないようにしてくれてたんだよね
それなのにせめちゃってごめん
その何年か後、けがれと呼ばれた風潮は無くなったとか
はい
すみませんでした
遅くなりました
頑張った( ᐛ )
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。