『ねぇ、今日の夜ご飯ハンバーグかオムライス、どっちがいい?』
なんて、誰もいない空間に呼びかける。
半年前までは答えをくれる人がいた。
なんでいなくなっちゃったのかな?
答えは出ぬまま俺はハンバーグをこね始める。
北斗が美味しいって言ってくれたハンバーグ。
毎日食べたいって言ってくれたハンバーグ。
もう彼はいない。
皿に盛り付けられた少し焦げたハンバーグ。
『ッあれ?こんな味、だったっけッ…?』
俺が作ったハンバーグはケチャップをかけていないのにも関わらず、塩辛い。
違う、、、もっと美味しかったはず。
いや、塩辛いなんて嘘。
"もっと美味しかった"なんて嘘。
レシピは変えてないし、いつも彼は何もかけないで食べてくれてた。
本当はもうとっくに味なんてわからなくなってんだ。
味がしない肉の塊を水と共に腹に流し込む。
彼がいた時は楽しかった食事の時間も今はただの"作業"と化して。
俺の中ではまだ彼のぬくもり、
肌の感触
彼の声が頭にこびりついて離れずに
今も彷徨い続けて
あーあ。
なんであの時見殺しにしちゃったんだろ
まだ悔恨の念と北斗の声、
味のしないハンバーグに俺は囚われて生きていく
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。