人の間を縫って走りながら、とめどなく溢れてくる涙を乱暴に手の甲で拭う。
――何が「勘違いしそう」だ。とっくに勘違いしてたんじゃないか。
どうして、自分のことを好きかもしれないなんて期待を捨てられなかったんだろう。
恥ずかしい。辛い。苦しい。逃げたい。
こんな自分、ハルアキくんに見られたくない。
「っあなた!!」
人通りのない路地裏に入ったところで、後ろからパシッと手首を掴まれた。
……無駄に足速いし、私足遅いし。こんな速く追いつかれて、ムカつく。
「なんで追いかけてきたの。そういうとこだよ」
「は……?」
「勘違いするって言ってんの!!その気がなくても、ハルアキくんがそんなんだから……っ」
これは八つ当たりだ。ハルアキくんは悪くない。勘違いした私が悪くて、悔しさのぶつけどころがないから無意味に責めてる。
だから追いかけてきてほしくなかった……こうなるから逃げたのに。
と、またハルアキくんのせいにしかけている自分が本当に嫌で腹が立つ。
「……勘違いじゃねえよ」
「何言ってんの?勘違いだって……」
「好きだ。あなた」
時が止まったかと思った。
でも実際に止まっていたのは自分の息で、風が木の葉を揺らす音に意識を引き戻された。
落ち着いて呼吸をし、ハルアキくんを振り返る。
「……う、嘘。4年前、好きな人がいるって私のことフったじゃん!!」
今更何言ってるんだ、という、怒ったような失望したような感情が沸き起こる。
再び荒くなった自らの語気に気付き、私はゴホッ、とこっそり咳払いをした。
「フったけど、フってねえよ」
「……意味わかんない」
「だろうな」
ハルアキくんが笑みを零す。
「ちゃんと説明する」
そして、ハルアキくんの昔話が始まった。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。