「まぁ、幼馴染み水入らずで楽しんでね!じゃあねー」
「……ありがとう」
手を振って、友達の元に戻っていく真帆の背を見送る。
私は、すっとハルアキくんと距離を取った。
「……どうした?あなた」
「だって立場とかいろいろやばいし……」
「別に大丈夫だよ。俺らの高校の教師年寄りばっかだからこんな祭り来ねえ。気にするだけ無駄だって」
ハルアキくんが歩み寄ってくる。私はそれに合わせて、同じ分だけ後ろに下がった。
ハルアキくんの眉間にシワが寄る。
「……あなた」
「だいたいハルアキくんおかしいんだよ。担任なのに、担当クラスの生徒のうち一人だけに構ってちゃダメじゃん。もっと全員を平等に見て、平等に扱わないと」
「待て、お前何の話してる」
「何の話って……」
――私が、ハルアキくんの態度を勘違いしそうっていう話?
あれ?なんで急に、心臓がうるさいんだろ。
俯いた私の頬を何かが伝う。
「……一旦落ち着け?話はそれからでいいから」
ポン、と頭に手を乗せられる。
私は唇を噛み締めて、ハルアキくんに背を向けて走り出した。
「!?おい!」
しかし、簡単に手首を掴まれて止められ、体が後ろに傾く。
ハルアキくんの胸に倒れ込むことは絶対したくなくて、なんとか踏ん張り、ハルアキくんの手を振り払った。
その際、勢いあまって大きく振り返ってしまい、ハルアキくんに顔を見られてしまった。
「……っ」
涙で滲んだ視界に、目を見張るハルアキくんが映る。
私は今度こそ全力で走り出した。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!