冬の夜の空気は、痛いくらい冷たい。
それなのに俺の手のひらは、変に熱かった。
部屋に入った瞬間、言ってしまった。
ピアノの前に座るあなたちゃんが、鍵盤に指を置いたまま小さく頷く。
音を重ねながらも、俺の心は演奏より彼女の横顔ばかり追っていた。
目の奥に、光が揺れてる。泣きそうなのか、俺がそう見たいだけなのか。
曲が終わると、静寂が降りた。
俺はマイクを置いて、彼女の隣に座る。
少し笑ったけど、その笑いは優しすぎて苦しかった。
立ち上がる彼女を思わず引き止める。
手を取った瞬間、心臓が跳ねた。
温かいのに、もうすぐ離さなあかん手。
声が震えて、笑われそうやったけど、彼女は黙って握り返してくれた。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。