▷あなたは幼い少女である。
▷(あったか記憶にないけど)窓のある部屋にいる。
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あなたside
やぬしさんがやさしい人でよかった。
「ここにいてください」って言われたおへやの中に一人、
わたしはイスに座っている。
…………うん、
…つまんない……
やぬしさんがあんないしてくれたおへやには、わたしだけ。
近くの本だなに本があって、ひらいてみたけれどわたしにはむずかしくて読めなかった。
つまらなくて、キョロキョロとまわりを見てみる。
今は夜で、たいようが出てないから、たぶん…
見てもだいじょうぶ、な はず。
少しだけ気になって、カーテンをめくって外を見てみた。
草とか木がいっぱいだ。
おひるはあんなにあついのに、まだ生えてる。
それに人も……
…
…………あれ、
ひ、と?
なんとなく、ちょっとだけ、いわかん。
……ぁ、目が、あった…
とおくに見えた人が、ゆっくりとこっちに近づいてくる。
青白いはだで、上のふくをきてない男の人。
びっくりしてわたしはカーテンから手をはなした。
はら、とおちたカーテンがまどをかくす。
かくれたカーテンのおくから、
コン、コン、コン。
と、ノックの音がきこえた。
コン
コン
コン。
わたしは、おそるおそる…カーテンのはしをもって、
ぺらりとめくった。
くぐもった声が、まどのおくからきこえる。
ニコニコわらっていて、ちょっと、ぶきみ。
気にしないで。
なんて、男の人はニコニコわらう。
…そういえば、きになってたことがある。
せっかくだし、きいてみよう…かな?
たしかに外はあついもんね。
だから上のふくきてなくてもおかしくない…
……ない、のかな。
2人ともしゃべらなくて、しずかなじかんがながれる。
シーン…としてて、男の人はずっとわたしを見ている。
しばらくして、男の人が口をひらいた。
……いえの中に…
わたしがそう言ったら、男の人はざんねんそうなかおから、おもしろそうなニコニコえがおにかわった。
しらない人だけど、ほめてもらえてちょっとうれしかった。
……あ、そういえば、
お兄さんはいえの中に入りたいんだっけ。
カーテンから手をはなしてはなれようとしたら、男の人が声をかけてきた。
なぜかひき止められて、わたしはふしぎでふしぎで男の人の方を見た。
お兄さんが入りたいって言ったのに…なんでだろう?
コッチにおいで、というように男の人が手まねきするから、
まどの方に近づいて耳をくっつけるくらいよった。
ないしょ……
お兄さんと、わたしだけの、ひみつ。
なんだか、すっごくうれしかった。
お兄さんも、すっごくうれしそうにわらっていた。
……お父さんとお母さんがいなくなっちゃって
ちょっとさみしかったけど、
…今はさみしくない、かも。
あしたも、ちょっとだけたのしみ。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!