目の前にある2人の顔を見て、私の意識は急速に覚醒した。
寝かされていたベッド……いや、ソファーから起き上がり、エリーゼの胸倉をつかむ。
ドアを開けて、グレーテルが部屋に入ってきた。
それが十秒早かったら危なかった。
……目の前でにこやかに笑っているお前、殺すぞ?
なんてことは口に出せない。
私が逆に殺される。
ざけんな。あんまりだ。
ここにいれば精神が擦り減られる。
早く帰ろう。
……2人が少し、不憫に思えてきた。
2人の仲間になれば、私もこんなことに巻き込まれてしまうのだろう。
さあ、早く帰ろう。
……やらかした。
これは、早く帰れないやつだ。
グレーテルのスイッチを押してしまった。
怖い。グレーテル怖い。
まあ、クッキーに含まれた毒がどういうものか分からないのだ。
休むべき、という言葉には一理ある。
つまり、早く帰れないということか。クソ。
一つ気が付いた。
グレーテルは、自分の話をとてもしたがるタイプの人間だ。
つまりウザい!!!!!
それは酷い。とても酷い。
どんな手違いがあったんだ。
親の代からおかしかったのか。
なんでだよ。
そして普通、「へぇー」で済ませる反応じゃない。
ざけんなエリーゼ!
そしてグレーテルの一族全員!!!!!
続く……
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。