今回の課外訓練は
命の危険と隣り合わせの現場だった。
上鳴の頭上には
崩落してきた建物の瓦礫が落ちてきていた。
それを私は見ているだけと言うわけにもいかず、
上鳴の肩を押して
私が身代わりになる形になった。
私はモロに食い、
そこからの記憶はない。
目を開けると、
白く簡素な天井が見えた。
見えた、と言っても
片目は包帯が巻かれていて見えにくい。
どうやらここは病室らしい。
心電図の単調な音と、
腕に繋がれていた管でなんとなく察した。
窓から見える景色は青空が広がっていて
何日かは眠っていたみたいだ。
私の手は上鳴にぎゅっと結ばれていて、
上鳴の様子を伺うに
随分長くそばにいてくれたらしい。
私は声を久々に出す感覚がした。
上鳴は私の返答を聞き、
目を見開いてその目からは
ぼろぼろと涙が溢れてきている。
涙なのか鼻水なのか、
上鳴の顔はひどく
ぐちゃぐちゃになってしまった。
一週間、そう私は聞いて少し驚いた。
3日か4日程度だと思っていたけど、
少し長めに寝てたらしい。
上鳴が泣き止む気配は見えなかった。
上鳴の事を慰めるように
私は上鳴の背中に回そうとした。
私の体は思っていたよりぼろぼろだった。
腕にも包帯が巻かれていて、
特に酷いのは顔だった。
主に頭に瓦礫が当たったらしく、
顔の半分はほぼ包帯に巻かれている。
ずび、と鼻を啜った。
手の力はぐっと強まり、
私は苦笑をこぼした。
そのまた数週間後、私は学校に復帰していた。
相変わらずのみんなに私はふっと口が緩んだ。
後方から聞こえてくるどどどどと
重い足音には気付かないフリをして。
私は以前と何ら変わらず
登校できるようになった。
が、その代わりに上鳴が信じられないくらい
過保護になった。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。