っ………あれ?ここ…
私の家の近く…?
悪魔くんが入っていった白い扉を抜けると、
見覚えのある住宅の並んだ道に出た。
悪魔くん…?悪魔くん、どこっ?
ご機嫌様、お姉さん♪
うわ!?!?
(この人浮いてる…もしかして悪魔くんが言ってた4つの神様の1人!?)
あたしになんか用?
わざわざ人間が神門からこっちの世界に来るわけないし、幽霊?
あたしに成仏させてほしいのね!?わかったわ、すぐに楽にしてあげるっ♡
ちちちちち違います!!!
えぇ?じゃあどうしたっていうのよ
あたしの世界を壊すなら、今すぐ消すだけだけど……
ひぃっ……
ひ、人を探してて……
人探し?ここにはあたし以外の3人の……あっ、わかった!
あんた、さっきあたしらの邪魔しにきた悪魔の仲間ね!?
ふぇっ…?な、仲間というか…なんというか………
邪魔するなら、いらない
ごめんね。
きゃっ!?!?
腕をガシッと掴まれて、壁に体を押しつけられた。
首元に水色の鋭いナイフが近づく。
や……っ、誰か…助け…………
すーぐ終わるから、ね?
いやぁ……っ、助けて、悪魔くん…
.
.
.
何してんの〜?
悪魔くんっ…!!!
ナイフを持った手を止めたのは、頬に傷をつけた悪魔くんだった。
やはりこいつ、悪魔の仲間か……!
悪魔くんは私を優しく抱き寄せ、鎌をその神様に向けた。
悪いけど……俺の大事な子に、手出さないでくれる
ふざけるな……神のあたしに勝てると思わないでくれる
神様の両手に水の玉のようなものが現れた
その玉から分裂した水の粒が、ナイフのように鋭く硬くなってこちらに刃を向く
あ、悪魔くん危ないよ…!!!
ここにいて。
周りは見ないで、俺だけ見てて?
わかった?
う、うん……わかっ…た
お喋りは終わりだ!!!!
消えて無くなるがいい!!
水の粒がすごいスピードで悪魔くんに向かっていった。
やっ………!!!!!
っ………
悪魔くんは鎌で水の粒を弾いたけれど、水の粒が一つ首元をかすった。
悪魔くんっ……!!!!!
くっ……
あれれれれー?もうおしまい?
やめて!!!!
私は悪魔くんの前に立ちはだかるようにして立ち止まった。
なによ、死にたいの?
叶!!!下がってて!!
私はっ………!!!
生まれてきてから周りの人にお世話になりっぱなしで毎日毎日病院の人に介護されて
楽して生きてきた
私はこれ以上、人に迷惑をかけるのは嫌だ
悪魔くんは、私を守ってくれた
だから、私も悪魔くんを守りたい!!!!
………馬鹿げたことを言う
あんたは知らないの?
悪魔は、人を騙して悪夢を見せ、悪い未来へ誘う、なんて言われてる
っえ………?
そんなものを信用するなんて、自分でも馬鹿だと思わない?
そ、それは………♪
それ以上喋るな
この鎌の刃で刻まれたくなければ、 大人しく境界に戻ってくれる?
…………あーはいはい。ちょっとつまんなくなったから抜け出しただけよ
消されるのはごめんだし、わかりましたよ〜戻ります〜
それでよしっ……と
………叶、帰るよ
う、、、うん
(悪魔は、人を騙して悪い未来に誘う………か)
(悪魔くんもそんな悪いこと、するの……?)
……………なに?こっち見て
え、や、……なんでも、ない
…………そう
(聞きたいことはたくさんあるのに)
結局何も、聞くことができなかった。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。