入学してはや半年。私はまだ誰とも友人同士らしいことを話せていなかった。私は知らなかったのだが、入学前にLINEグループやインスタで先に繋がって仲良くなっていたらしい。前から作られた輪に入り込むのは、なかなか面倒な作業である。だから、入ることを諦めた。
こんなか弱い少女のような声しか発することができない。もともとそうだった。
文芸部同好会の先輩とはきちんと話が出来たけれど、そもそも人間が嫌いなのだ。ちゃんと話せるわけがない。誰にも虐げられていないだけマシだと思うしかない。
クラスの陽キャが何やら楽しそうに話していた。結局どこの学校も変わらない。結局愛奈がうじゃうじゃいるようなもんだ。
私はきっと彼らに認知すらされていない。根暗とかデブとか言われてる方が羨ましい。しかし、この陽キャは賢いのか馬鹿なのか。本人の前では絶対にそう呼ばないし、聞こえないようにする。小狡いとでも言っておこうか。
スクールカーストは結局どこへ行ってもついてくる。私は本を開いて、この長くはないが短くもない休み時間を潰そうとしていた。最近はホラー×ミステリーにハマっている。ちょっとサイコパスが混じってる程度の。
もともと怖いものは苦手だが、ミステリーのゾクゾク感をよく引き出すので、最近ハマっている。ちなみに図書委員にはおそらく嫌われている。
本にしばらく浸っていると、霧吹きのような音とともに人工的な甘い匂いが鼻腔を刺激し、思わず咳をした。陽キャの1人がバニラとフローラルの香水をしたらしい。
気にしないで、と言おうとしたがやめた。そもそも学校が悪いから、学校に謝ってもらいたい。香水は鼻腔どころか喉奥まで刺激してくる。喉のイガイガが止まらない。きっとうがいしても治らないし。このまま耐えよう。
特に何も無い日々がいつまでも続いてくれればいい。私もクラスメイトも根暗とデブも。何も変わらなければ、何も起きないのだから。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。