現れたのは他でもないいふ 。
電話終わったんだ 。
どっ 、どうしよう!
よりにもよってこんなタイミングで 。
視界がぐるぐるしてくる 。
なにやら楽しげないむを
慌てて止めるも間に合わない 。
ああ 、もうだめだ 。
身の程知らずのバカだって罵られて終わりだ 。
ちょっと考えればわかることだったのに 。
__ 自分の気持ちなんて 、
大事にしてもやっぱり意味ないよ 。
目頭じわっと熱くなる 。
滲む涙に気づかれないようにうつむいた 。
ほらね 、たとえばこういうとき 、
前髪が長いと助かるんだもん … 。
ううぅ 、りうら 。
お願いだから傷口をえぐらないでほしい 。
恥ずかしい 、消えたい埋まりたい … っ 。
雷の中だって構わない 。
この部屋を飛び出そうかと本気で思ったときだった 。
背後からいふの声が飛んでくる 。
びくっとした 。
いったいどんな辛辣な言葉を
浴びせられるんだろうと 。
だけど 、続いて聞こえてきたのは 。
予想よりもずっと優しい声だった 。
周りが息をのむ気配がして 、
俺はその場から張りついたみたいに動けない 。
いふは面倒くさがるでもなく 、
静かに近づいてくると 、俺の肩をそっと抱いて 。
小さく笑いながら 、耳元で囁いた 。
びっくりして硬直しきってたはずなのに 、
いふに腕を引かれれば自然と足が動く 。
どこ 、行くんだろ 、
さっき「 俺の部屋来るか 」って
聞かれた気がするけど 。
ほ … 本当に?
身の程知らずなわがままを言ったのに怒らないの?
それとも怒ったから 、
制裁を加えようと部屋に誘ったの?
バクン 、バクン 。、
緊張ととまどいでめまいさえした 。
りうらをたしなめたあと 、
いむは「 あ 、そうだ 」
となにかを思い出したようにこちらを見て 。
いふは少し間をおいて 、
悪いな 、つぶやいた 。
小さな紙袋を受け取ったいふの表情が 、
一瞬だけ 、切なく歪んだように見えた 。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。