あなたside
...大股で歩きながら様々なことを考える
彼は私とホテルにいたことが分かっていて
おそらく私以上にいろいろ覚えていることだろう
...本当にどんな感じであったか全く思い出せない自分を恨む
もしかしたら、本当にもしかしたら、
2人とも服を着ていなかっただけでなにもしていない可能性だってある
...おそらくないが
いつの間にか、隣には昼川先生
私、できる限りの大股で歩いていたはずが...
あっという間に追いつかれている
この足長生物めっっっ
さらに大股で逃げようとするも、
彼は普段と変わらない様子で私の横に着いてくる
足をちら、っと見れば、そこまで無理して大股でもなさそうで
普段彼は私に合わせてくれていたのか...と複雑な気持ちになる
ありもしない用事をつくって、私は先程歩いていた廊下を戻るように歩いていく
少し後ろを見てみれば、諦めたのか、昼川先生はそのまま職員室に向かっていた
...危ない...と思いながら、1回行く、と言ってしまったし、と
用事などない数学準備室に行くことにした
1~4限を終え、昼休みの時間となる
何度か話しかけられそうになったが、なんとも不自然な様子でなんとか切り抜けてきた
買ってきた弁当(作る時間はお察しの通りなかった)を開ければ、なんとも美しい唐揚げが顔を覗かせる
一口食べれば...
美味しく頬張っていれば、いつの間にか背後にいる昼川先生
私の肩に手を置き、少し屈んでにっこり微笑んでくる
...まるで気配がないのだが......?
(ご名答!!!)
いつも通り、いつも通り
自分に言い聞かせながら、口角をあげ微笑む
今日初めてしっかり目を合わせたであろう彼の顔は、本当にいつも通りで
昨夜から今朝にかけての出来事は私の夢だったのでは、と思えてきた
さりげなく私の隣に腰をかけた昼川先生は、弁当を広げ隣で食べる気満々である
もともと私の隣の机は誰もいなかったので、問題はない
そこからはただ高校の話や生徒の話をしながら弁当を食べる
普段と変わらなすぎて、本当に彼はなにも知らないのでは、と思えてきた
一筋の希望である
髪飾りはもしかしたら飲み会の時に落としていて、今日くれただけなのでは...?
何度も何度も言い聞かせて都合のいいように考えれば、なんとなく辻褄があってきた
2人とも食べ終わりまで来た頃
生徒が昼川先生の名前を呼ぶ
なにか質問でもしにきたのだろう
十数分前ほどに話しかけられた時より自然であろう笑みを浮かべ、
弁当に顔を移したとき
彼は私の耳元でそう言って、何事もなかったかのように生徒たちの方に行った
都合のよい方向には向いてくれないそうだ
案の定私は、彼が職員室から出てかなり遠くまで行った時まで
身体も思考も停止させ、青ざめていた













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!