情報を頼りに千冬なる人物を探したが、案外早く見つかった
「……私の話ですか?」
「あら千冬ちゃんいい所に!この人たち刑事さんなんだけどねぇ、第一発見者の話が聞きたいらしいのよ。」
「……なるほど。」
千冬と呼ばれたその女性は、めんどくさいという顔を少し浮かべるが、
俺らを視界に入れた途端少し驚いた顔をして、何か言いたげに口を動かして、辞めた。
「初めまして、私がご紹介にありました第一発見者の千冬 叶夢と言います。」
「立ち話もなんですし、良かったら私の家でお話しませんか?」
「えーっと……いいんですか?」
千冬さんにも裕一さんどちらにもとれる質問をする。
「私は大丈夫なんですけど……お仕事の都合的に大丈夫ですか?」
裕一さんは何か悩むような、思い出そうとしているような何とも言えない顔をして黙りこくっている。
「……裕一さん?」
今までの話が聞こえていなかったように、裕一さんはハッとして顔を上げる。
「えっと……何の話でしたっけ?」
ちゃんと聞いててくださいよ……と茶化しつつ説明をする。
「千冬さんさえよろしいのであれば、大丈夫だと思います。」
「では、すぐ向かいましょう。ほら、こっちです。」
そこは決して大きいとまでは言えないが、一人暮らしなのであれば大きい方だろうという程度の一軒家だった。
鞄の中から鍵を取り出して、扉を開ける。
中からは甘ったるい頭まで響くような強い花のような香りで満たされていた。
あまりの強い刺激に、思わず俺は顔を顰めて頭を押さえた。
「……ッ」
それと同時に裕一さんの方に視線を向けるが、嫌がる素振りをしないどころか、どこか恍惚の表情を浮かべていた……気がした。
怪訝そうな顔で俺が見ているのに気が付いたのか、ハッとした顔をして咳払いを一つする。
「あぁ、ごめんなさい!私、実は調香師を目指してまして……それを放置してたの忘れてました。」
「すぐ換気します、ね。」
焦ったようにドタドタと家の中に入っていく。
「あ、入ってもらって大丈夫です。ごめんなさい、こんなに慌ただしくて。」
通された部屋は、しっかりと整理整頓されていたが、彼女が言っていた通り、液体が入った瓶が幾つも置かれていた。
「今、お茶用意しますんで…!」
そう言いながらキッチンの方へとかけていく。
「え、あ、お気遣いなく…!!」
しかし、止まる様子もなく、しばらくして水が流れる音やお湯を沸かす音が聞こえてくる。
「はい、どうぞ。」
心を落ち着かせるような何とも言えない香りが漂って来る。
「……御親切にどうも。」
お茶を1口啜る。
じんわりと温かいものが体を巡る心地がした。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。