涙を流してはいけない .
勝手に出て行ったものとして 、それは
身勝手極まる行為だとわかるから .
瀬をはやみ
岩にせかるる
滝川の
われても末に
逢はむとぞとぞ思う
道満様は今どうしているのだろう .
もう私が居ないのに気づいただろうか
今日もまた安倍様に 、
遊ばれているのだろうか
いってらっしゃいは言えてないから
きっともうただいまが聞ける日は
永遠に来ないのだろう .
それだけは紛れもない事実で 、
心が石を乗せたようにズンっと重くなる .
ふと後ろを振り向くと
羅城門をとっくにくぐり 、
都から十里は離れたいた
都の方に頭を下げると
ようやく自分に終着点が来た気がした .
そう思うと一気に涙が押し寄せて
瞼があるのか怪しいくらい
溢れて止まなくなる .
何処かで四神のあの鳥が鳴いた気がした .
このままでは見つかってしまう 、
道満様のためにも早く遠くへ行かないと .
そうして私は無我夢中で
朝の京都を走り続けた .














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。