第13話

13話 天文学者
212
2026/02/17 10:00 更新
11月10日(日) 12:59









???
こんにちは〜





魔法使い
山本さんいらっしゃ〜い


天文学者の彼山本が抱える箱は、小柄な彼には大変そうな荷物に見えた。




天文学者
…よいしょっと、ふ〜重かった
魔法使い
これ中身なんなの?
天文学者
これはね〜お見せしましょう!



そう言って箱から出てきたのは、







魔法使い
地球儀だ…え、すご


重々しい地球儀。最近よく見る丸い台に三日月のような支えがあるタイプではなく、4本足で立つ、かなり昔のタイプの地球儀。






天文学者
ちょっと足が悪くなってきちゃってさ〜
魔法使い
えてか凄いねほんと…国の名前とかも
今と全然違う…
天文学者
そーなのよ〜お願いできる?
魔法使い
もちろん!



壊れないよう慎重に地球儀を持って、魔法部屋へと運んだ。











魔法使い
お待たせ〜
天文学者
……うん、しっかり直ってる!ありがとう福良さん!




慎重そうに箱を抱えて店をあとにした。


























呪術師
続き聞きたい?
魔法使い
うん、めっっちゃ!








このまま死のう。今一瞬痛くなれば、苦しくなれば。















目の前はぼんやりとした紺色の水と、僕の心に似た空。

聞こえる音は打ち付ける荒波の音。

鼻には水との近さを思わせる程濃いしょっぱい香り。

手は握りすぎて爪がくい込んで、跡がついて少し痛い。

口には緊張とか不安だとかで止まらない唾液が溜まる。












……黒いと思っていた空は、













決心した途端に何故か、白い粒を現した。



白い粒…?否、満天の星空だ。













死ぬ前に、大好きなものを見れてよかった。











月だとか星だとかは、凄く好き。誰かのものじゃないから。

魔法使いの素質だとか、ふざけ合える友人だとか、気楽な人生だとかを持っているあいつらだって持ってないから。

















こんなこと、昔は思ってたっけ。


憎いあいつらを意識しだしたのなんて精々小学校の高学年から。

でも、宇宙を好きになったのはもっと前、3歳ぐらい。











あれ、なんで好きになったんだっけ。












好きな理由が、こんな僕のただの妬みでいいはずが無い。





















ごちゃごちゃ考える前に、死ぬか。

















???
…ねぇ




中学生
っ!?…だれ……
???
辞めた方がいいよ
中学生
……は、?
???
水すっごく冷たいよ



そう声をかけたのは、












僕より幼いであろう男の子。














中学生
………もう帰らないとダメだよ、
???
いいの、家この辺だから






……なんなんだこの子は。いきなり僕の自殺を止めたかと思ったら小学生だし。





中学生
…よくないよ、体冷やしちゃうし
???
それはお兄さんもでしょ
中学生
…っ、あ~もう!!   構うなよ!!!




…あ、








しまった。小学生相手に何してるんだろ、











最悪、最低だ。僕は。






中学生
っ、ごめ、ごめんね、
???
ううん、大丈夫
???
……お兄さん、そのままでいて



少年はどこからか分厚い本を取り出した。ペラリ と本を開く。










少年が息を吸った。















『 星よ、誠を知るものよ、 』



『 どうか彼の心にかかる苦い雲から、 』



『 星の光の筋を、見せて欲しいのです 。 』

















???
大丈夫?



心に絡まっていたうざったい糸が、半分ぐらい、するり と抜けた気がした。










ふと見上げると、





小さな頃から大好きな空があった。















中学生
…大丈夫、かも
???
良かった、
中学生
ごめんね、迷惑かけて
???
ううん、大丈夫



???
ねぇ、その制服って、⬛︎⬛︎高校?
中学生
…の附属中学校
???
え~すごい!!めっちゃ頭いいじゃん!
???
ねぇ、明日勉強教えてよ!
中学生
あ、明日?
???
うん!明日、約束!
中学生
う、うん、いいよ
???
お兄さん、お名前は?
中学生
河村拓哉かわむらたくやです……君は?
???
僕はね…
████
████--か---う-
中学生
██--か-くんね、よろしく










魔法使い
え、その男の子って、呪術師…ってこと?
呪術師
ま~生業にしてた訳じゃないけど、
呪術を使える男の子、だったね
魔法使い
めっちゃすごくない…?それ、
呪術師
今思うと天才だったなって
魔法使い
今も仲良いの?
呪術師
うん、たまに遊び来てくれるよ



魔法使い
…河村、
魔法使い
生きててくれて…ありがとう
呪術師
ほんとに██--か-のおかげだけどね





困ったように笑う貴方が、大好き。











生きててくれて、出会えて、良かった。





《お直しカルテ》━━━━━━━━━━━━━━━


XXXX年 11月 19日 火曜日 10:04/10:41完了



件名[ 割れたマグカップの修理 ]

依頼者氏名[ ???? ]

備考《 色味の変化に気をつける 》

プリ小説オーディオドラマ