第37話

第28話 『1週間後』
3
2026/01/04 02:20 更新
玲音side


早いものであれから約3か月が経った。



すっかり夏の面影を失くし、涼しい…いやむしろ、冷たい風が吹き抜けるようになった。


あの日のことを、未だ結にからかわれるのはうんざりだが、それすらも楽しんでいる俺がいる。

ラン
オイ、玲音
結&英舞
うわぁぁ!?!?
玲音
玲音
大袈裟すぎんだろ

琴葉
琴葉
前も言ったけどさ、ノックぐらいして入ってきてよね
ラン
悪い悪い。忘れちまうんだ
咲凪
咲凪
人の部屋に入るとき、ノックしないのは大分失礼だと思うけどね


英舞
英舞
結ちゃんは英舞とかの部屋にノックして入ったことある?
結
……………ない、かも


玲音
玲音
だから、お前は人が風呂に入ってるときに、入ってくるんだな…


ラン
オイオイ、それかなりヤベーぞ…
結
それは小さい頃の話じゃん!
咲凪
咲凪
そういう問題かなぁ…

琴葉
琴葉
普通音とかで分かるでしょ
結
それはそうだけど…
玲音
玲音
結が入ってきたら、皆絶叫してたもんな…
英舞
英舞
そうそう。皆毎日のように悲鳴上げて、咲凪ちゃんなんてそれで喉、枯れたときあったよね
咲凪
咲凪
あー……あったねぇ…。玲音ちゃんと琴葉ちゃんに関しては、悲鳴というか怒号だったけど…
結
『何で人が入ってるのに、入ってくるの!?』とか『わざとやってんのかよ!?』とか色々言われてたねー
琴葉
琴葉
本当に毎日疲れてたからね…
玲音
玲音
ようやく人が入ってんのが分かるようになったときは、安心というか親みたいな目線になっちまったからな…
咲凪
咲凪
『成長したなぁ…』みたいなね
英舞
英舞
分かるかも……


ラン
そんなお前らの『なんちゃって風呂事情の記憶』なんて知りたくねえよ…
玲音
玲音
何だそのネーミング
ラン
ってか、その話聞くために来たわけじゃねーし
英舞
英舞
そうなの?
ラン
ったりめえだろ


ラン
あのな…

咲凪
咲凪
はい、ストップ!!第263回!これからランは何て言うでしょー!?
琴葉
琴葉
いえーい
ラン
はあ?
咲凪
咲凪
ガチトーンやめて?

玲音
玲音
しかも、初回だろ
ラン
早く言わせろ
咲凪
咲凪
ボ、ボロクソ……
琴葉
琴葉
ま、まあ、楽しそうではあったけどね…
結&英舞
え、本当にやるの?
玲音
玲音
ほら、真に受けるヤツがいる

咲凪&琴葉
何かすみません…














ラン
いいか?
咲凪&琴葉
はーい……


そんなアホみたいなやりとりを聞くとクスッと笑ってしまう。
必死に口元を覆い、誰にも悟られないように笑いを噛み殺した。

ラン
1週間後の朝7時、中央連絡広場に来い
57チーム
中央連絡広場に?


中央連絡広場とは、年に一度あるかないかで行われ、他の拠点からのチームが集まる『連絡調整会議』というもののためにあるスペースだ。
なぜ、ここでそんなことが行われるかはご存知幹部ランがここにいるからだ。
連絡調整会議には全てのチームが参加するわけではなく、その拠点に住む一番実力のあるチームが収集される。
つまり、この拠点の中で収集されるのは俺らってわけだ。


会議を行う理由としては、チームを作れずに個々で愚獣の討伐を行っている者たちの問題、保護区域不足問題、などの特攻隊としての問題提示をし、話し合いの場を設けるためらしい。
しかも、問題の例示発言、会議が終わってからは解決策を原稿用紙3枚以内にまとめる…などのぶっちゃけ面倒なものばかりがあるため、会議などやりたくない。


そこまでは百歩譲って、面倒じゃないと言ってやらないこともないが、ここからが一番の問題なのだ。





…コイツらが問題児すぎる、ということだ。




隊での実力はトップレベルなのに、当たり前のように問題行動をする。

問題行動を挙げると切りが無いが、あえて挙げるとしたら…



結が居眠りする、とか英舞が言葉の意味が分からなくて頭にハテナを何個も浮かべる、とか咲凪と琴のお喋りが一生止まらない、とか。
いや、英舞に関しては真面目に聞いているのだが、難しい言葉が並ぶためかほとんど意味が分かっていない。


結はリーダーだから、発言をしないといけないのだが、ずっと寝てるから俺が言うことになる。



会議後も俺の苦悩は続いて、原稿用紙にまとめるとき。

結は原稿に何を書くのかわからない、咲凪と琴葉は原稿用紙3行分しか書けない、英舞は国語力が壊滅的すぎて存在しない日本語を作り始める…などのことが起きる。



全員が俺に助けを求めるせいで、俺が5人分の原稿を書いていると言っても過言ではない。






これまでの会議2回のことを思い出し、思わず大きなため息を吐いた。
4人はハテナを浮かべるが、ランだけが察してくれたようで小声で「本当に大変だな…」とそっぽを向いて言った。

琴葉
琴葉
ちなみに何するの?
ラン
んまあ、秘密ってとこだ
咲凪
咲凪
それ秘密にする必要あるの?


ラン
ん……………


ラン
逃げられちゃあ、困るからな………
英舞
英舞
え?
結
何て言ったの?


玲音&咲凪&琴葉
え……、


聞こえてない組と聞こえた組での反応はほとんど一緒だが、聞こえた組の背中にはゾゾ…という悪寒が走る。

一体俺らは何をされるんだろうか…


少しばかり顔を青くした俺、咲凪、琴に気付いた結と英舞は、

英舞
英舞
えーっと、咲凪ちゃん、琴葉ちゃん、玲音ちゃん…、、体調悪いの?
結
顔、真っ青だよ?


体調の心配をする。



そのことを全く気に留めないランは出ていこうとしたが、ピタッと動きを止めた。

ラン
忘れてた
ラン
ほら
玲音
玲音
っと…ぉ、、


ポイッと投げられた細長いケースを開けると、細い黒縁の眼鏡が入っていた。

玲音
玲音
お、サンキューな、ラン
ラン
悪ぃな、遅くなって
玲音
玲音
それはいいんだが…、人の眼鏡投げんなよ
ラン
眼鏡失くして帰ってきたのは、どこのどいつだっけか?
玲音
玲音
失くしたんじゃねぇ、バキバキに壊されたんだ


至って真面目に答えるが、「ドヤるとこじゃねえ」とそっけない返事が返ってくるのみだった。


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