玲音side
早いものであれから約3か月が経った。
すっかり夏の面影を失くし、涼しい…いやむしろ、冷たい風が吹き抜けるようになった。
あの日のことを、未だ結にからかわれるのはうんざりだが、それすらも楽しんでいる俺がいる。
そんなアホみたいなやりとりを聞くとクスッと笑ってしまう。
必死に口元を覆い、誰にも悟られないように笑いを噛み殺した。
中央連絡広場とは、年に一度あるかないかで行われ、他の拠点からのチームが集まる『連絡調整会議』というもののためにあるスペースだ。
なぜ、ここでそんなことが行われるかはご存知幹部ランがここにいるからだ。
連絡調整会議には全てのチームが参加するわけではなく、その拠点に住む一番実力のあるチームが収集される。
つまり、この拠点の中で収集されるのは俺らってわけだ。
会議を行う理由としては、チームを作れずに個々で愚獣の討伐を行っている者たちの問題、保護区域不足問題、などの特攻隊としての問題提示をし、話し合いの場を設けるためらしい。
しかも、問題の例示発言、会議が終わってからは解決策を原稿用紙3枚以内にまとめる…などのぶっちゃけ面倒なものばかりがあるため、会議などやりたくない。
そこまでは百歩譲って、面倒じゃないと言ってやらないこともないが、ここからが一番の問題なのだ。
…コイツらが問題児すぎる、ということだ。
隊での実力はトップレベルなのに、当たり前のように問題行動をする。
問題行動を挙げると切りが無いが、あえて挙げるとしたら…
結が居眠りする、とか英舞が言葉の意味が分からなくて頭にハテナを何個も浮かべる、とか咲凪と琴のお喋りが一生止まらない、とか。
いや、英舞に関しては真面目に聞いているのだが、難しい言葉が並ぶためかほとんど意味が分かっていない。
結はリーダーだから、発言をしないといけないのだが、ずっと寝てるから俺が言うことになる。
会議後も俺の苦悩は続いて、原稿用紙にまとめるとき。
結は原稿に何を書くのかわからない、咲凪と琴葉は原稿用紙3行分しか書けない、英舞は国語力が壊滅的すぎて存在しない日本語を作り始める…などのことが起きる。
全員が俺に助けを求めるせいで、俺が5人分の原稿を書いていると言っても過言ではない。
これまでの会議2回のことを思い出し、思わず大きなため息を吐いた。
4人はハテナを浮かべるが、ランだけが察してくれたようで小声で「本当に大変だな…」とそっぽを向いて言った。
聞こえてない組と聞こえた組での反応はほとんど一緒だが、聞こえた組の背中にはゾゾ…という悪寒が走る。
一体俺らは何をされるんだろうか…
少しばかり顔を青くした俺、咲凪、琴に気付いた結と英舞は、
体調の心配をする。
そのことを全く気に留めないランは出ていこうとしたが、ピタッと動きを止めた。
ポイッと投げられた細長いケースを開けると、細い黒縁の眼鏡が入っていた。
至って真面目に答えるが、「ドヤるとこじゃねえ」とそっけない返事が返ってくるのみだった。
















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。