第48話

重岡side
1,052
2018/05/23 13:59
あっという間に1ヶ月が過ぎ、今日は最後の稽古の日だった。


相変わらず先生は怖いし、叱られてばっかりやけど、

でも、いつの間にか叱られることになれてた気がする。




半日の稽古が終わった後、先生は最後に全員を集めて、

演技指導
みんな、ほんまによくなった!
そう言って褒めてくれた。


普段、褒めるということがない先生の言葉に、その場の空気が穏やかになった。


演技指導
特に前列の7人!
俺ら7人を見て、先生は笑顔になった。
演技指導
ほんまにいい演技になった。ちょっと驚いてるで。
先生にそう言われて驚きながらも、みんなで顔を合わせて笑った。


演技指導
それから重岡
僕の名前が呼ばれて「え?」と顔を上げた。


演技指導
お前は病気に甘えてなんかなかったな、酷いこと言って、悪かった。
急に頭を下げられて、びっくりして何も言えずに戸惑ってると、
演技指導
それから・・お前は本当にいい仲間を持ったな
そう言って優しく笑った。



その瞬間、じわっと涙があふれて、

ただ頷くだけが精一杯だった。




苦手だった、


先生。



いっぱい叱られて、

出来てないところばかり言われて、



やのに



最後にやさしいところ見せるなんてずるいよ。






演技指導
まあでも!まだ明日最終日あるんやからな!しっかりやれよ!
そう言った先生に、

涙をぎゅっとぬぐった。



明日は絶対、


今までで1番いいものを見せるんや。

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