あっという間に1ヶ月が過ぎ、今日は最後の稽古の日だった。
相変わらず先生は怖いし、叱られてばっかりやけど、
でも、いつの間にか叱られることになれてた気がする。
半日の稽古が終わった後、先生は最後に全員を集めて、
そう言って褒めてくれた。
普段、褒めるということがない先生の言葉に、その場の空気が穏やかになった。
俺ら7人を見て、先生は笑顔になった。
先生にそう言われて驚きながらも、みんなで顔を合わせて笑った。
僕の名前が呼ばれて「え?」と顔を上げた。
急に頭を下げられて、びっくりして何も言えずに戸惑ってると、
そう言って優しく笑った。
その瞬間、じわっと涙があふれて、
ただ頷くだけが精一杯だった。
苦手だった、
先生。
いっぱい叱られて、
出来てないところばかり言われて、
やのに
最後にやさしいところ見せるなんてずるいよ。
そう言った先生に、
涙をぎゅっとぬぐった。
明日は絶対、
今までで1番いいものを見せるんや。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。