your side
はぁぁぁぁ。私はとても憂鬱だった。
Pの事件があった後、永瀬さんに甘えてしまった。自分の事では絶対に泣かないと決めていたのに。と自分が嫌いになる。
永瀬さんは、いつも私に甘えてくるような無邪気な少年だと思っていただけに、知らないうちにあんなに頼りがいのある青年に成長していたなんて、本当に驚きだ。
結局永瀬さんはあれから約2週間私の家に居座った。
夜は必ず添い寝してくれたし、寝ているうちに抱きしめられていたこともあった。私が何か頼めば必ずなんでも聞いてくれた。
私の作るご飯はいつも美味しく食べてくれたし、私世代が好む物や事について話を聞いている時の彼の目はキラキラしていた。
私はこの甘々な生活に溺れてしまっていた。
そして何よりも、この2週間、一緒に寝ていたのに性的なことは一切してこなかった。抱きしめられたことはあっても、ただただ安心するような抱擁。
私にはこのプラトニックな関係がとても新鮮で心地良かったし、彼の私を見つめる純粋な目がとても好きだった。
今ではまた1人で寝れるようにもなったし、以前からあった後遺症はまだ残るものの、何も支障なく生活が送れるようになった。
永瀬さんは、私の家を出てからも私のことをすごく気に掛けてくれている。
そんな優しい永瀬さんには本当に感謝しかない。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。