第8話

7,罰の始まりは……
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2024/02/23 09:02
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「今日のらん、何かへんだったよな……」
家で一人、リリックを書きながららんを思い出していた。
 
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(運命………と……)

「必然…………」
らんはあの時、死ってのは『偶然と必然と運命』のどれって聞いてた。
でもらんの口から出てきたのは『必然と運命』という言葉だけだった。
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「じゃあ…………『偶然』は………?」
 
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(今日のらんくんちょっと怖かったな………)
天高く昇るお月様を見上げた。
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「死…………」
考えたことが無かったことを、らんに言われて初めて考えた。
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「必然……ね………」
 
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「…………」
 
「運命って言葉は、人間が作った目を背けるための綺麗事だよ」
 
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「それって、人の死から目を背けちゃいけないってことなの……?」
 
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(人の死なんて…………考えたくない……)
『運命』って………
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「なんなんだろう…………」
 
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らんは一人、人通りも車通りもない、橋の上にいた。
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「ふぁ〜……眠っ」
なんて言いながら、橋の手すりの上に登って橋の向こうへ歩き出す。
前にも言ったけれど、死神も人間のような寿命がある。
死神は、前世で大罪を犯した者が今世で生きる罰で、今世で死ぬ時、その時は罰が終わる時。
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「俺の罪はいつ許されるのだろう」
らんは手すりの上を落ちないように歩き続ける。
これで落ちれば俺の罰は終わり。
落ちなければ、俺の前世で犯した罪は重いっていう証拠だ。
毎夜、らんはここでこうして前世で犯した罪の重さを確かめる。
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「…………」
ふと、足を止めた。
今日、なつたちに言った言葉たちを思い出した。
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「運命は綺麗事…………」
人間は、新しい生命が誕生することを“奇跡”と呼ぶ。
しかし、生命が枯れ、死んでしまうことを“運命”と呼ぶ。
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「w…………おかしいでしょ」
生命の誕生を“奇跡”と言うのなら、生命が枯れ、死ぬことも“奇跡”だろう。
“奇跡”というのは『偶然』が重なり合って起きる未知なことだ。
『必然』は必ず起こること。
死は『必然』。
『運命』という言葉が邪魔をして『必然』という言葉を覆い隠している。
『運命』という言葉が、“死”を綺麗なものにしてしまっている。
死というのは、『運命』という綺麗事で隠してはいけない『必然』なんだ。
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「もしここで俺が死ねば、運命じゃなくて必然だ。ううん。必然がいい」

(なーんて…………何考えてんだろ俺は。運命とか必然とか、もうどうでもいいじゃん。ってか頭こんがらがってきた)
橋の手すりの向こうは川だ。
その川に背を向けて自分の身体を後ろに傾ける。
だんだんと近づく川。
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(死ねたらいいのに)
 
グイッ
 
手を掴まれて落ちる寸前だった身体は橋の内側へ戻された。
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(俺の罪はまだ重いみたいだ)
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「何してんだよバカ!!!!!!」
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「ハローいるま。あ、こんばんはかな」
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「は……?なんでそんなケロッとしてんだよ。なんで死のうとした?こっちは必死で───」
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「俺はまだ死ねそうにないから大丈夫だよ」
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「…………らん、なんかあったか?」
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「んーん」
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「らんにとって、“死ぬこと”ってどういうことなんだ?なんで死のうとした。教えてくれ」
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「死のうとは……してないよ。俺は……いつ死ぬのか試しただけ。こうしているまも助けに来てくれたことだし────」
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「そういう問題じゃないだろ!!!!!!」
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ビクッ
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「助けに来てくれた?偶然通りかかっただけだろ。この偶然がなければお前は死んでたかもしれないんだぞ!!!」
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「…………なんで必死に止めるの。死のうとすることを」
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「なんでって……お前は生きなければならない人間だからだ。それが、お前が嫌う運命さだめだからだろ」
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「……そっかー。いるまは俺に生きて欲しい?」
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「あぁ」
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「俺のことが大好きなんだから〜」
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「やっぱり死んでくれ」
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「いーや死なないし」

(怖いなぁ……。罰を受けてる身なのに……。こんなに俺を思ってくれるやつがいて)
らんは一瞬考えたことを頭から振り払った。
 
『もし、まだ罰は始まってなかったとしたら…………?』
 
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「帰ろういるま。夜中になにほっつき歩いてんの?」
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「こいつムカつく」
二人肩を並べて夜道を歩く。
 
 
途中まじで頭こんがらがった。うむ。
ではまた〜

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