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家で一人、リリックを書きながららんを思い出していた。
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らんはあの時、死ってのは『偶然と必然と運命』のどれって聞いてた。
でもらんの口から出てきたのは『必然と運命』という言葉だけだった。
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天高く昇るお月様を見上げた。
考えたことが無かったことを、らんに言われて初めて考えた。
🎼🍵
「運命って言葉は、人間が作った目を背けるための綺麗事だよ」
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『運命』って………
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らんは一人、人通りも車通りもない、橋の上にいた。
なんて言いながら、橋の手すりの上に登って橋の向こうへ歩き出す。
前にも言ったけれど、死神も人間のような寿命がある。
死神は、前世で大罪を犯した者が今世で生きる罰で、今世で死ぬ時、その時は罰が終わる時。
らんは手すりの上を落ちないように歩き続ける。
これで落ちれば俺の罰は終わり。
落ちなければ、俺の前世で犯した罪は重いっていう証拠だ。
毎夜、らんはここでこうして前世で犯した罪の重さを確かめる。
ふと、足を止めた。
今日、なつたちに言った言葉たちを思い出した。
人間は、新しい生命が誕生することを“奇跡”と呼ぶ。
しかし、生命が枯れ、死んでしまうことを“運命”と呼ぶ。
生命の誕生を“奇跡”と言うのなら、生命が枯れ、死ぬことも“奇跡”だろう。
“奇跡”というのは『偶然』が重なり合って起きる未知なことだ。
『必然』は必ず起こること。
死は『必然』。
『運命』という言葉が邪魔をして『必然』という言葉を覆い隠している。
『運命』という言葉が、“死”を綺麗なものにしてしまっている。
死というのは、『運命』という綺麗事で隠してはいけない『必然』なんだ。
橋の手すりの向こうは川だ。
その川に背を向けて自分の身体を後ろに傾ける。
だんだんと近づく川。
グイッ
手を掴まれて落ちる寸前だった身体は橋の内側へ戻された。
らんは一瞬考えたことを頭から振り払った。
『もし、まだ罰は始まってなかったとしたら…………?』
二人肩を並べて夜道を歩く。
途中まじで頭こんがらがった。うむ。
ではまた〜
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!