諸伏「はい?合コンに、誘われた.....?」
9月下旬。私は先ほど、仲良くしている同僚に合コンこないか?と誘われた。
いや、遠慮しておくよ、とも言えず渋っていると数合わせだけでいいからさ!!と。
しかし、私は職場には隠しているけれど、彼氏がいる。相手は同じ職場の上司である高明さん。
そんなわけだから、高明さんに許可を取ろうと思ったのだが。
あなたの名字「数合わせでいいから~!!お願い~!!って言われまして......」
諸伏「駄目に決まってるでしょう」
案の定ダメと言われてしまった。
まあそりゃそうだよな、恋人が合コンに行くって言って止めない人なんていないよな、とは思う。
あなたの名字「でも、すごい良くしてもらった人からのお願いで......断りたくなくて......」
諸伏「駄目です、絶対に」
あなたの名字「そこをなんとか!!」
同僚「あ!あなたの名字ちゃん!!もしかして諸伏警部も誘ってくれてる感じ?実は男性陣が1人予定は言っちゃったらしくて。でも2対2はちょっとなぁってことで、諸伏警部も連れてきてくれるならすごい助かるんだけど......」
諸伏「私もついて行っていい、ということですか(ボソッ)」
この流れは......日頃お世話になっている同僚ちゃんの誘いも断らずに済むし、
高明さんに心配をかける必要も...なくなる!!?
諸伏「今日は特に予定もありませんし、たまには良いかもしれませんね。行きましょうか」
同僚「本当ですか!!ありがとうございます!場所と時間はあとでメールしておきますね!」
そういうと同僚ちゃんは立ち去っていく。
諸伏「ですが、あなたの名前。他の男に目移りしてはダメですよ?」
職場でそんなことを言われるのは慣れていなくて、ドキドキしてしまう。
言われなくても、この人以外に目移りなんて、しないだろうけど。
諸伏「職場ですから、そんなあからさまに照れるのはやめてください」
あなたの名字「あっ、すみません......。でも、高明さんが悪いですからね、今のは」
私はそう言って逃げるように自分のデスクに戻る。ただし恥ずかしさと高揚感は残ったままで。
上原「どうしたの?顔、赤いけど」
あなたの名字「由衣ちゃん~!!」
上原「どうしたの。そうやって抱き着いてくるってことは、また諸伏警部となんかあった?」
あなたの名字「いや、そんな大したことじゃないんだけど......やっぱあの人ずるい!!」
上原「なにがあったの」
あなたの名字「その、色々あって、合コンに行くことになって......」
上原「え?それ諸伏警部いいよって言ってくれたの?」
あなたの名字「最初はダメって言われたんだけど、また色々あって高明さんもついてくるけど行くことになって...それで、他の男に目移りしてはダメですよって....やっぱするい、あの人」
上原「なんだ、ただの惚気話か.....」
あなたの名字「それは...そうかもだけど...でも聞いてきたの由衣ちゃんだし!!最近由衣ちゃんから惚気てくることの方が多かったし!!」
上原「うっ、それもそうかも」
あなたの名字「だからおあいこさま!!ほら、そろそろ仕事再開しないと怒られるよ!」
上原「ごめんごめん、まあ頑張ってね、合コン」
あなたの名字「頑張るってのも変な話だけど....ま、まあうん、頑張る...!」
同僚「ごめんね、つき合わせちゃって!!」
あなたの名字「ううん、全然平気!むしろこうやって遊べる機会もなかなかないし、誘ってくれてありがとう!」
そんなことを言うと、高明さんから静かな怒りを感じた。
違う、誤解だ。単に仲の良い同僚(女)と酒が飲めるのが嬉しいってだけだから。誤解なんだって。
諸伏「お店、入りましょうか」
私たちがお店に入ると、既にほかの3人はそろっていた。
男1「おっ、かわいい子が2人も!いらっしゃい、とりあえず最初は、こっちが女の子ね」
女1「え~!かっこいい!!同僚ちゃん、こんなイケメンも知り合いだったの~??」
男2「とりあえず生でい?」
ひたすらに普通の合コン、という感じの雰囲気だ。
長野に来る前に、2、3回誘われて行ったことがあるが、別に合コンのノリというのは
東京でも、長野でも、変わらないんだなぁなんて思う。
同僚「それじゃ、自己紹介と行きましょうか!」
男1「セッティングしたの僕だし、僕から時計回りで行こうか。まず僕の名前は~」
そういって自己紹介が始まる。普通に名前と職業、趣味とかを言っていくやつ。
1人の自己紹介が終わるたびにFOOOという声と拍手が席を包み込む。
恋人探しという目的でないとしても、こういう飲み会はやはり楽しい。
あなたの名字「あなたの名字あなたの名前、っていいます!職業は同僚ちゃんと、諸伏さんと同じく警察官です!趣味は~う~ん...特にないけど、ゆっくり過ごすのが好き、かな!よろしくお願いしま~す!」
始まる前に、お互いを名前で呼んでしまっては恋人だとばれるかもしれない、ということで
名字にさん付けで呼ぶことにした。諸伏さん、だなんて久しぶりに呼ぶから
少し不思議な感じがする。
あなたの名字「けっこーよっちゃったぁ、えへへ」
男1「あなたの名前ちゃん、お酒弱い感じ??」
あなたの名字「実は~そうなんですよね~」
女1「これからゲームするけど、いけそう?」
あなたの名字「そんなのあたりまえですよ!楽しむために来てんだからぁ」
純粋に飲み会、として楽しんでしまっていたため、うっかりお酒も飲んでしまった。
みんなまだまだ素面とあまり変わらないのに、私だけもうべろべろだ。
女1「それじゃ、王様ゲーム!!」
男1「ひゅ~~!!」
女1「それじゃ、この棒、一人1本引いて~!!」
男2「王様の指名、誰がするの?女1ちゃんがやるの、よくないでしょ」
女1「そうだね、じゃ、ここは男2くんにお願いしちゃおっか!」
一同「王様だーれだ!」
男2「うーん、じゃあ王様は3番!」
同僚「あ、私だ!えっと、じゃあ1番と5番が席交換!」
あなたの名字「あ、1番、私です~!」
男1「あ、俺5番だわ」
と、まあ初めはこんな感じでそっから次第に要求が上がってくってのが合コンの王様ゲームってもので、
次第に手をつなぐ、とか、2人で1つの飲み物を飲む、とかに内容が変わっていった。
女同士、男同士でやることもあって、おもんねぇよとかいいつつちゃんとやるから
この席のみんなはノリがいいんだなと思い、楽しくなる。
そして8回目くらいのゲームの時、私の番号は2番だった。
一同「王様だ~れだ!」
同僚「んじゃ5番!」
男1「俺じゃん!じゃーあ、2番と....」
私...!?この流れでなにするんだろう、男1、2さんと当たっちゃったら、高明さん、怒るよな....。
男1「3番でキスするってのでどうだ?」
女1「え!?それは流石に.....ちなみに2、3番って誰?」
あなたの名字「あ......2番、私......」
諸伏「でしたら何の問題もありません。あなたの名前、少々目をつむっていてください」
あなたの名字「はい?高明さん......?」
高明さんがあなたの名前、なんて呼ぶから、せっかく諸伏さんって呼ぶように気を付けてたのに
うっかり高明さん、と呼んでしまう。しかしこの感じ、3番は高明さんなのだろう。
よかった、これで他の男とキスなんてしなくて済....
あなたの名字「え!?待って待って待って!?ファーストキスですよ!!?私」
諸伏「初めてが私ではだめでしたか?あなたの名前」
男2「え、なんかいい感じじゃん」
女1「え!?ほんとにキスするの?」
諸伏「黙っていて申し訳ありませんでした。私、あなたの名前と交際させていただいているのですよ。今日は数合わせに来ただけですので。ね、あなたの名前」
あなたの名字「ちょ、ちょっと待ってくださいよ、え!?人前ですよ!?」
私はあまりにも衝撃的な現実を目の前にして、少々酔いがさめていた。
諸伏「いいじゃないですか、ほら、目、閉じてください」
私は言われるがままに目を閉じる。
数秒後、私の唇に、やわらかくて暖かい、高明さんの唇が触れた。
男1「まじかよ、冗談で言ったのに」
諸伏「よかったです、あなたの名前が私以外の男とキスをする羽目にならなくて。それでは私たちはそろそろ帰らせていただきます。カップルがいてはお邪魔でしょうから」
女1「うっそぉ、ちょっと狙ってたのに、高明さんのこと!!」
あなたの名字「だ、だめです。高明さんは、私の、か、彼氏...だから」
男2「最後までかわいいのはずるいよ、あなたの名前ちゃん。僕も狙ってたのになぁ」
諸伏「駄目ですよ、あなたの名前は私の彼女ですから。ほら、帰りましょう?あなたの名前」
あなたの名字「あ、同僚ちゃん、ごめんね」
同僚「前からいい感じだとは思ってたけど...まさか付き合ってたとは。こっちこそごめんね、彼氏いたのに誘っちゃって」
あなたの名字「ううん、言ってなかったのは私の方だから、ごめん!あ、これ、お金は追いてく、ね?」
男2「末永く幸せにね...!!あなたの名前ちゃん、嫌なことあったらいつでも僕のところ、来ていいからね!!」
私はそんな声を後ろに、高明さんに引かれて店を出る。
9月下旬にもなると、すこし暑さも和らいでいて、夜だからそこそこ過ごしやすい気温だ。
あなたの名字「あ、あの、高明、さん」
諸伏「すみません、すこし強引にしてしまいました」
あなたの名字「それは、いいんです。むしろちょっと、嬉しかったですから」
諸伏「強引にされるのが?」
あなたの名字「ちっ、違います!人前で私を守ってくれたこと、が......。やっぱ狡いです、貴方は」
諸伏「もう二度と、合コンにいこうなんて言わないでくださいね?」
あなたの名字「ごめんなさい」
諸伏「今日はうちに泊まっていきますか?その調子じゃ、明日の二日酔いはひどいでしょうから」
あなたの名字「いい、ですか?」
諸伏「構いませんよ」
あなたの名字「じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて」
私たちは夜の街を、2人で手をつなぎながら歩いていく。
さっきは違うって言ったけど、少し強引に初めてのキスを奪われるのも悪くなかったな、なんて考えながら。
諸伏「顔、赤いですよ。やはり、先ほどのは少々恥ずかしかったでしょうか」
あなたの名字「恥ずかしくなかったことはないですが、でも、そうですね、改めて考え直すと恥ずかしいかもしれないで......」
私が言い終わる前に高明さんは私にキスをする
あなたの名字「な、急になにするんですか!!」
諸伏「嫌でしたか?」
あなたの名字「そんなことは、ない、ですけど」
諸伏「つい、酔っているあなたの名前はかわいいので、悪戯したくなるのですよ」
普段は絶対しないような悪戯をする高明さんも、酔わないなんていつも言ってるし
そんな感じだって一切しないけど、でも少し、ほんのわずかに、酔ってるんじゃないかって思った。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。