打ち合わせを終えた三代目。
スタッフが出ていった会議室で健二郎は独り言のように言った。
それぞれ荷物を掴んで会議室を出た。
少し先で集まっていたTHE RAMPAGE。
その中に壱馬の姿を見つけたナオト。
静かに近づいていく。
元気のいい声が揃った。
口元に笑みだけ浮かべるナオトは、壱馬の腕を掴む。
驚く壱馬の腕をグイッと引っ張る。
静かなラウンジまで連れて来た。
すぐに離された腕をさする。
単刀直入な問いに露骨に逸らした視線。
確認するように聞いてくる。
その声色が、そうだ…と言って欲しいみたいに。
ナオトは顔をしかめた。
その先を言葉に出来なかった。
ナオトは小さなため息をついた。
ズボンのポケットに手を突っ込む。
驚きを隠せない。
ナオトはフッと鼻で笑った。
俺の…
実の弟だと…
可愛いやつなんだと…
可愛がってやって欲しいと…
俺たちに頭を下げた…
ライブがあれば…
時間を割いて見に行くし…
テレビに出れば…
打ち合わせやリハの合間に全て見る…
お前にも思うとこがあるだろう…
でも…
お前の兄貴は…
そういう兄貴だ…
聞かされた臣の話。
知らなかった…
兄貴がそんな事してたなんて…
知らない…
と言うよりは…
考えたことも無かった…
兄貴が…
俺を見てるなんて…
ナオトの話は、壱馬に戸惑いだけを与えた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。