ある日の図書室…
伏見さんが本棚をじっと見つめている。
…まさか!
「伏見さん、起きてる?」
「え?起きてるよ?」
「あ、ごめん」
…伏見さんは集会中によく立ったまま寝ているのだ。
「どうしたの?」
「…届かないの」
そう言って彼女は一冊の本を指差した。
僕は軽々それを取る。
「私も背が高かったらな…」
ちょっと悔しそうに僕を見上げる伏見さん。
自然と上目遣いになってかわいいんだよなぁ。
…言ったら怒られそうだけど。
「伏見さんはそのままでいいと思うよ。
なんかリスみたいで可愛いし」
「ありがとう大和くん、なんか悔しいけどね」
この会話を向かいの本棚にいた
生徒が聞いていてドキドキしていましたとさ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。