あなたside _
『…はぁ、はァ…!岩ちゃん、及川さん…!』
いろいろな所を探し回った。音楽室、理科室、教室…
『いない…もうどこに…!?
あ……屋上ッ!』
私たち3人にとって、思い出の場所。
『…は–、は–…
後、少し…!』
元からない体力を駆使して、階段を駆け上がる
タンタンタンタンッ!
『はー、は、』
ドアの前に着き、軽く息を整えようと膝に手をつく。
大分呼吸も落ち着いてきた頃に、ドアノブを開けようと手を伸ばそうとすると_____
及川「俺はッ…与えられてるだけなんだ…」
『…及川さん?』
何を考えてるかも、何を思ってるのかも分からない。
でも、無性に腹が立った。この前言ったことを、忘れられてるみたいで
ガチャッ…!
年季があるような古びた、ドアを思いっきり開ける
『だぁーかぁーらぁ〜!そんなことないっつの!』
及川「あなたちゃん…!?」
岩泉「あなた…!」
『この前もいいましたよね〜?アンタの言動に救われた人は沢山いるって!まさか忘れたとは言わせませんけどね〜?』
及川「ハ、ハヒ」
『ごめんだけどね、私人を励ますのが苦手なの!だからうまいこと言える自信なんてミリもないけど…』
『もっと自信持てよ、及川徹』
私が伝えられる精一杯の言葉、涙が落ちて、どうしても声が震えてしまう。
『あ、あと!岩ちゃん!及川さん!助けてくれてありがとう!また今度ス○バ奢ったげる〜!じゃ!』
もうこれ以上話すと、もっと泣いてしまうから
これ以上歩幅を離されないように
もう、遅れを取らないように
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。