第38話

護るべきもの④玉森side
394
2019/09/16 07:41
とつぜん空から永瀬廉が降って来た、驚いたのなんの!?いきなり襲い掛かって来たんだから。

千賀
れんれん、もっとこっちへ来いって
一緒に歩こう
永瀬
嫌です、もうくっつかないで下さい


でも俺達のことは忘れているみたいで結構、いや
かなり俺はショックを受けている。

千賀
嫌いになっちゃった?千ちゃん
ガッカリ
永瀬
知りませんって貴方がたの事なんか
千賀
ねぇタマ、れんれんがさぁ~
玉森
煩い、静かにしていろ千賀
千賀
ううっ


(そんなに必死でしがみついても今は無理、まぁ俺も千賀も記憶を失わずにこの世界にいたから二階堂や廉の気持ちが汲み取れない部分があるのかもしれない、とは言え)。

沸き上がる寂しさを拭えきれず、グッと唇を噛み
締める。

永瀬
あ、タマ…さんって言うんですか?
玉森
そうだけど、なに
永瀬
別…に
玉森
‥‥‥


「お前のことは俺が絶対に護る何があっても」そう心に誓う、そして岸や神宮寺、紫耀、海人のところへ帰してやらないと。

千賀
タマ、城が見えて来たよ!ほら


千賀の声に前を見つめると、遠く遥か向こうに聳え立つ滝田の城が。

法師
あそこが里見義実公がおわす所
永瀬
‥‥‥
法師
お主は、あまり会いたくないやも知れぬが
永瀬
別に恨んでるわけじゃないし、ただ
法師
んっ?
永瀬
どんな人なのかなっとは思っていた
けど
法師
温厚なお方だ
永瀬
なら、どうして戦をした
千賀
れんれん
永瀬
それで多くの人々が死んだんだ!くっ
玉森
お前…


掴み掛かるように叫ぶその姿に心が痛んだ見知らぬ土地でたった独り突然戦場いくさばに遭遇し、どれだけ辛く苦しい日々を送っていたことか傷ついた心が悲鳴を上げているようで。

(でも廉、俺には分かるよ自分も似たようなものだったから沢山の人の死に目に遭い、だから心を開いてくれるのを待っている待っているから)

里見
そち達が八犬士か


それから俺達は滝田の城へと入り、里見義実公と
対面した。

法師
この者は犬田小文吾そして犬坂毛野、他にも犬川荘介・犬塚信乃がおりま
する


(なんで、その名前を?)

里見
あと4人か、そこにおる者は?
永瀬
俺は犬江親兵衞
里見
犬江とな?山下定包の家臣の
永瀬
息子だ!


(お前…)

里見
私が憎いか?
永瀬
どうして戦をした
法師
これ、あれは仕方がなかったのだ
里見
よい、そうだな戦はしてはならぬもの
永瀬
だったら
里見
だが大切なものを護る為やもなく人は太刀を抜く
永瀬
大切な…もの?
里見
そちにもあるはずだ自分の身をていしてでも護りたいものが
永瀬
俺にも?
里見
それが危険に晒されたらどうする?
永瀬
俺は…俺の‥うっ…ああーっ
玉森
廉、どうしたんだよ!おい
千賀
れんれん!
永瀬
頭が…痛い‥くっ
里見
どうやら、その者は心に何やら深い傷を負っているようだ
法師
そのようですね、お願いが殿
里見
なんだ?申してみい
法師
拙者に、この者を預けては貰えないでしょうか
里見
主に?まぁ、よかろう
法師
有り難うございます親兵衛、少し休むといい
永瀬
うっ、ううっ


(廉、何がお前をそんなに苦しめているんだ)

千賀
あいつ大丈夫かなぁ


千賀も突然のことで、かなり心配している様子。

永瀬
大…切‥な…たい‥くっ


廉は、まるでキーワードのようにその言葉を口に
し続けていた。すると家の中なのに何故だかふわっと風が吹き。

ざわざわっ「来て」

(えっ、俺を呼んでいるの?どうして)

ざわざわっ「教えてあげる早く」

誘われるがまま外へと出る、ざざざざっ、ふわっ「こっちだよ」

そこに謎を解くカギが隠されているのなら知りたいと、そう思い。




プリ小説オーディオドラマ