とつぜん空から永瀬廉が降って来た、驚いたのなんの!?いきなり襲い掛かって来たんだから。
でも俺達のことは忘れているみたいで結構、いや
かなり俺はショックを受けている。
(そんなに必死でしがみついても今は無理、まぁ俺も千賀も記憶を失わずにこの世界にいたから二階堂や廉の気持ちが汲み取れない部分があるのかもしれない、とは言え)。
沸き上がる寂しさを拭えきれず、グッと唇を噛み
締める。
「お前のことは俺が絶対に護る何があっても」そう心に誓う、そして岸や神宮寺、紫耀、海人のところへ帰してやらないと。
千賀の声に前を見つめると、遠く遥か向こうに聳え立つ滝田の城が。
掴み掛かるように叫ぶその姿に心が痛んだ見知らぬ土地でたった独り突然戦場に遭遇し、どれだけ辛く苦しい日々を送っていたことか傷ついた心が悲鳴を上げているようで。
(でも廉、俺には分かるよ自分も似たようなものだったから沢山の人の死に目に遭い、だから心を開いてくれるのを待っている待っているから)
それから俺達は滝田の城へと入り、里見義実公と
対面した。
(なんで、その名前を?)
(お前…)
(廉、何がお前をそんなに苦しめているんだ)
千賀も突然のことで、かなり心配している様子。
廉は、まるでキーワードのようにその言葉を口に
し続けていた。すると家の中なのに何故だかふわっと風が吹き。
ざわざわっ「来て」
(えっ、俺を呼んでいるの?どうして)
ざわざわっ「教えてあげる早く」
誘われるがまま外へと出る、ざざざざっ、ふわっ「こっちだよ」
そこに謎を解くカギが隠されているのなら知りたいと、そう思い。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。