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第6話



祐はやかましい赤ちゃんでした。胎生の赤ちゃんはやかましいものだと初めて知りました。
祐は昼夜を問わず泣きじゃくり、その度に女の人が着物の袂を緩めて乳を飲ませてやらなければ泣き止みませんでした。

父親になったあのひとはやっぱりへらへらと掴み所がなく、愛しいままでした。
女の人は青白く、すこし醜くなりました。



誇り高きローレライと比べ、ひとは下等ないきものですが、とりわけ赤ちゃんは弱っちいものでした。
卵で生まれ、姉妹達と共に強かに生きるわたしたちローレライとは大違いの、愚かでか弱い、守ってやらなければならない存在でした。

庇護欲が愛に変わるのは、時間の問題でした。




ひとのこどもの成長は、しかし確かにめざましい物でした。

ある日祐は、あのひとを「とうたん」と舌足らずに呼びました。間髪開けずに女の人を「かあたん」と呼びました。
きゃっきゃと手を叩いて笑うようになりました。
どこへでも這いずるようになりました。
歩くのはまだかな、というわたしの心配もそこそこに、勝手に掴まり立ちをして、勝手に歩き出しました。
自信に満ち溢れた、大きな一歩でした。




わたしは祐の様子を見るのがいっとう好きでした。
祐は何事にも興味を持つ赤ちゃんでした。
哺乳瓶を使って牛乳を飲むのを見ては喜び、あつい湯呑みに手を伸ばすのを見ては跳ねて異変を知らせました。


祐の姉であることが、わたしの幸せでした。



--もちろん、シュウト、あなたの隣に居ることも、よ。