荒れた高波をかき分けるように
巨船モビーディックは、次の島を目指し
グランドラインを進んでいた。
轟く雷鳴と、吹き付けるような雨が
巨船を大きく揺らし、船を飲み込む勢いの波が
容赦なく襲い掛かる。
そこへ、船の上空に1匹の白いドラゴンが
飛んできて、船をぐるりと旋回すると
ようやく荒れた海は穏やかな気候を取り戻す。
船の縁にもたれかかった男、サッチと
泥のように甲板に項垂れるエースを含めた船員達は
ようやく荒れた息を整えた。
1番隊が白ひげの島に派遣され船を離れた辺りから、
グランドラインの天候はここぞとばかりに荒れ狂い、
数日間、モビーディック号が揺れに揺れて
船員達は甲板を駆けずり回っていた。
こんなにも大きな船があそこまで揺れるのだから、
グランドラインの天候の恐ろしさたるやを
船員達は久しぶりに思い返していた。
雨と塩水と打ち上がった海藻やらで
ベトベトになった船の縁に
小柄な少女が降り立つと、男ばかりの船内に
透き通るような少女の声が響く
そう言って駆け寄って行くエースを
珍しくサッチが引き止める
…なんて、疲労感丸出しの彼らを見て
あなたは《相当キツかったんだな…》と
苦笑いを浮かべていると
もう1人、船の縁に降り立った。
少しは労わりやがれ!と
マルコに昆布を投げつけるとひらりとかわす。
するとあなたが、荒れた船内と
疲れ切って海藻と共に寝転ぶ船員達を見て
うーん。と言った。
そう言ってマルコとあなたは水面を見つめた。
そんな様子を見たエースが
あなたの隣の縁から上半身を乗り出すように
水面を見つめると、何やら影が見える。
そう言いかけた瞬間、
影は海流を立ち上げながら甲板へと流れ込み
甲板にあった海藻やら打ち上がった魚やらが
全て海へと戻された。
水流から出てきたのは
ジンベイザメの魚人、ジンベエだった。
ジンベエはエースが白ひげの船に乗る前に
一度戦っており、5日間の死闘を繰り広げた間柄だ。
そんなこともあり、一応顔見知り
という状態だったが、
今となっては、昨日の敵はなんとやら、だ。
それから、何回か酒を酌み交わすうち親しくなった。
そんなジンベエだが、今回は
エースとあなたが隊を任されてから
初めての訪問だった。
エースはジンベエの元に近寄ると、
10尺もある体を見上げた。
エースは嘘だろ!?と言った声を上げる。
王下七武海に名を連ねるジンベエが、
いかに旧知の仲とはいえ、四皇・白ひげの船に
おおっぴらにいるのは憚られるのだった。
ジンベエが申し訳なさそうに
断りの言葉を述べようとした時
船室の扉が開き、マルコと共に親父がやってきた。
あなたは親父の言いたいことを理解すると
姿を変え、上空へ駆けていく。
サッチがジンベエと話していると
船以外の周りの天候が荒れ始める。
波は穏やかなのに対し、天のみ荒れていると言った
自然界にはない不思議な光景だ。
程なくしてあなたが船に戻ってくると
親父の隣に降り立った。
甲板には酒や料理なんかが並べられ
向かいには親父がジンベエと
同じように酒を傾けている。
そんなジンベエの隣には
エースとあなたが座っており
隊の就任の祝いの酒を傾けた。
宴も酣になり、ジンベエが帰る頃になると
空にはうっすらと月が見え始めていた。
親父と挨拶を交わし終えたジンベエと
見送りにはエースとあなたが付き添って
船尾の方に移動する。
エース&あなた『もちろん(だ)!』
ジンベエはお辞儀をして応えると
船縁から海に飛び込んだ。
巨体が、たちまち海の闇の底に沈んで
見えなくなった。
エース『あなた、戻るぞー!』
あなた『…はーい!』


































編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。