第38話

#37
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2025/04/29 05:57 更新
橘椿
航!
航・バジリスク
椿!?
橘椿
ただいま
それより、寮長知らない?
帰ってきても忙しなく動き回る私に痺れを切らしたのか、航が怒鳴った
航・バジリスク
椿!!!
橘椿
!!!
航がため息をついて言った。
航・バジリスク
お前とりあえず落ち着け
なんで戻ってきた。スラムで何があった。寮長が・・・とか言ってたが寮長と何があった
橘椿
ごめん・・・
航・バジリスク
別にいい。
で?何があった
スラムは憲兵に包囲されてたこと、寮長と戦って啖呵切ったこと、攫われてたみんなを取り返したこと、あの手紙は怜さんや幸哉が書いたものではないことを順を追って話した。
航・バジリスク
それで?寮長を探してるってのは?
橘椿
啖呵切って以降見ないんだよね・・・スラムでも、ここでも。憲兵の数もちょっとまばらになってたし。どうなってんのか全然わかんなくて・・・
項垂れた時、部屋にノック音が響いた。
航・バジリスク
はい
智樹・ガルム
副寮長の智樹・ガルムだ。入るぞ
ガルムさんは部屋を一瞥いちべつしてため息をついた。
智樹・ガルム
本当はなんで女子寮にバジリスクがいるのか咎めなきゃいけないが・・・まぁいいか
思わずガバッと2人で顔を見合わせた。
そうだった。色々動き回るうちに私の部屋に来てたんだった。
それに気づいたのは航も同じらしく、真面目な航は顔を少し赤くしてすぐに青くした。

あの航が100面相をしてるのが面白く、クスッと笑ってしまったら航にギロリと睨まれた
流石蛇系人外
ごめんって
智樹・ガルム
橘。お前、アキレアを探してるのか?
橘椿
はい
まっすぐガルムさんを見つめていると、ガルムさんがため息をついた。
智樹・ガルム
さっきアキレアから連絡が来た。王族会議に出るそうだ
橘椿
!!寮長は、今どこに
智樹・ガルム
さぁな。それは書いてなかった
思わず歯噛みする。
王族会議までまだ時間がある。ひと月・・・いや、1週間あれば、寮長の実力なら確実にスラムを陥落させることができる。
智樹・ガルム
これ・・・見てみろよ
そう言って副寮長はスマホを操作して私たちに見せた。

画面に表示されてたのは国営放送のネットニュース記事で、見出しには大きく「【速報】桜都・シームルグ軍 スラムから撤退」と書かれていた。
橘椿
は・・・?
信じられない見出しに二、三度瞬きし、スマホを引ったくるようにして読んだ
航・バジリスク
昨夜未明、桜都軍がスラムから撤退していたことがわかった・・・
橘椿
軍の意図については現在もわかっていない・・・
智樹・ガルム
軍の総指揮はアキレアだ
つまり・・・
橘椿
寮長はもうスラムを落とす気はない・・・
あまりの急展開に思わずしゃがみこむ
航・バジリスク
おい、大丈夫か?
聞いたことないくらいの航の優しい声に顔をあげれば、航は少し困ったような顔をしていた。
航・バジリスク
お前、泣いてんぞ
橘椿
え、うそ・・・
なんでこんな涙腺が緩くなってるんだ私・・・
昨日も今日も泣いてばっかりだ
橘椿
ごめん・・・大丈夫
航・バジリスク
まだ王族会議がある。泣くのはその後だろ?
そう言って手を差し出された。
その手を握って立ち上がりながらしっかりと答える。
橘椿
んーん。泣くのはもう十分。
あとは笑うだけ
航・バジリスク
ん、そーだな
どこからともなく2人で顔を見合わせてニヤリと笑い合って

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