航とアラさんが入り口から出てきたのを見て、反射で立ち上がる。
ずっとできなかった息がようやくできた心地がした。
思わず気まぐれ悪魔をキッと睨みつけたがすぐに辞めた。
向こう見ずとか無鉄砲とか言われる私でも、この悪魔に喧嘩を売るほどバカじゃない。
思いがけなかった航の言葉にドクンと心臓が跳ねた。
寮長が望めば、この世界が大きく変わるかもしれない。その高揚感がいつかに体験した武者震いに近くて。ひとつ大きな深呼吸をした。
本当はもっと言うべきことがあるはずなのに、これから動く未来への高揚と、寮長が言ってくれたという事実に安堵してこれ以外何も言うことができなかった。
無機質な部屋に、男の舌打ちだけが響いた。
その空虚な空間にさえ苛立ったのか、もう一度舌打ちした。
シームルグの坊、即位したばかりで調子に乗りすぎではないか。
今まで同志が数え切れないほど人間に殺されてきた。その英霊たちは何のために戦ってきた?
全て、人間を殺すことに他ならない。
それなのに人間を殺す?甘えた思想も大概にしろ
はらわたが煮えくり帰りそうなのか、男の額に青筋が立っていた。
だが、シームルグ家は始祖の血が近いことと、眷属が多い故に、王族の中で5本の指に入るほど権力が強い。
男のような弱小王族ではあまり力を成さない。
しかし、幸か不幸か、此度は男と同じ意見の王族が多かった。
この際、邪魔なコイツも消してしまおうか
暗がりの中、歪に男がニヤリと嗤った
あけましておめでとうございます。レインです
長らく更新しておらずすみません・・・
いよいよ最終章。駆け抜けて行きたいと思います。どうか、よろしくお願いします












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。